井沢元彦(作家)

 舛添要一東京都知事がついに辞職に追い込まれた。まあ本人の自業自得と言うしかないのだが、彼をそこまで追い込んだのはやはりマスコミの功績だろう。特に週刊誌報道のなかでも群を抜いていたのが『週刊文春』の一連の報道である。

 発端は舛添都知事の外遊が贅沢三昧を極めたものだという情報が入ったことだろう。ホテルは最高級スイート、飛行機もファーストクラスを使っているのに、ろくに仕事もしていないという。
 調べてみるとたしかにそのとおりで、都庁から東京都を出て神奈川県の湯河原の別荘に頻繁に公用車で通っているとか、政治とは何の関係もない美術品や本を経費で買っているとか、果ては正月の温泉への家族旅行まで会議費という名目の政治資金を使っていたという、なんとも破廉恥な行為が発覚した。

 このあたりは法律上、情報公開が認められていることが調査報道の大きな助けとなったのである。

 しかし追及する側にもそうした不正を見抜く目がなければ、この報道は成立しない。そういう意味では『週刊文春』一連の報道は高く評価すべきものだろう。

 ところが第二弾、第三弾と舛添追及キャンペーンが続くうちに私はだんだん苦笑するようになった。もうやめればいいとすら思った。もちろんそれは舛添氏に対する同情ではないし、醜いことはできるだけ耳にしたくないとの短絡的反応でもない。正直言って「文春さん墓穴を掘るよ、馬脚を現すよ」と思ったのである。

 もちろんそんなことを言われては『文春』は心外だろう。しかし私がそう思ったのは事実だから、どうしてそう思ったのか、ちょっと書いてみることにする。