【世界潮流を読む 岡崎研究所論評集】


岡崎研究所


 カーネギー国際平和財団モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長が、Foreign Affairs誌5-6月号に掲載された論文で、ロシア軍の来し方、行く末を論じ、ロシア軍に限界はあるが、これからも、ロシアがシリア爆撃のように海外で軍事力を行使する可能性はある、と結論付けています。要旨は次の通り。
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ソ連崩壊で地に落ちたロシア軍


 ソ連崩壊後、軍は「朽ち果てた」。1988年は500万を数えた兵員が、94年には100万となり、国防予算は2460億ドルが140億ドルに縮小した。海外からは70万の兵力を引き揚げた。軍人は将官級でも200ドル程度の月給しかもらえず、その社会的地位は地に落ちた。

 91年~08年にかけては、ロシア軍は旧ソ連域内の紛争対処にのみ用いられた。NATOとの協力に期待がかけられ、96年にはボスニア・ヘルツェゴビナでのPKOに加わった。その期待が裏切られ、NATOが東方に拡大を始め、99年には(ロシアの友好国)セルビアが爆撃され、03年には米国がイラクに侵入した。ロシアは激しく抗議はしたものの、止める力はなく、核兵器に自身の安全確保の最後の望みをかけるのみであった。