私は「2+α」が現実的解決に繋がる唯一の方法だと考えている。ロシアも良かった、日本も良かったという形にすることで平和条約の締結に繋がる。

 プーチン大統領も安倍首相も日本とロシアの間に平和条約がないのは異常なことだと言っている。3日の日露外相会談後の共同記者会見でラブロフ外相は1956年の日ソ共同宣言に関連し「その第一歩は平和条約の締結だ」と述べている。この発言は2島を日本に引き渡すというシグナル、メッセージと受け止めてよいのではないか。

 その実現のためには経済協力、北方四島での共同経済活動、自由往来、海の活用等、さまざまなことが考えられる。経済協力についてよく「食い逃げ論」が言われるが、経済協力は国民の税金を使うのではなく、民間が出て行く話である。民間企業は将来性、採算性を十分考えて判断する。

日露首脳会談 プーチン露大統領を表敬訪問する鈴木宗男議員
=2000年9月4日、東京都迎賓館
日露首脳会談 プーチン露大統領を表敬訪問する鈴木宗男議員 =2000年9月4日、東京都迎賓館 
 この経済協力について何かしら国がお金を出すように受け止める向きもあるが正しくない。日本の一番のウィークポイントはエネルギー資源のないことである。ロシアは石油、ガスの世界トップレベルのエネルギー資源大国である。これを供給してもらう事だけでも日本のエネルギーの安定供給に繋がり、経済協力することは重要である。北方四島での共同経済活動は経済協力と全く別物である。

 元島民の皆さんは「1島でも2島でも還していただけるものは還してほしい。あとは自由に行けるようにしてほしい。国後島周辺の海を使わせてほしい」という思いである。

 誰よりも元島民とこれまで向き合ってきた私である。この元島民は平均年齢81.3歳になる。人道的見地からも叶えてあげなくてはいけないのである。

 安倍総理も「北方領土問題は何よりも元島民の理解、思いをしっかり受け止めて解決に向けて努力したい」と言っている。安倍総理は乾坤一擲(けんこんいってき)の首脳会談をして、必ず道筋を付けて下さると確信している。

 平成3年4月、ゴルバチョフ大統領が来日した際、議長公邸での歓迎式典に安倍晋太郎先生が車椅子で来られた。ゴルバチョフ大統領が歩み寄るとすっくと立ち上がり、正対で握手をされた。大変痩せておられ、お身体が心配されたが、側でしっかりと支えておられたのが当時秘書をなされていた現安倍総理である。その一カ月後に安倍晋太郎先生は亡くなられた。当時、外務政務次官としてその場にいた者として今も鮮明に想い出される光景であり、政治家としての情熱、責任感、魂を知らしめてくれた尊いお姿であった。

 その父上、安倍晋太郎先生の思いも持って首脳会談に臨む安倍総理に天国からの晋太郎先生の力強い支えもあるものと信じてやまない。