片山修(経済ジャーナリスト)

 自動運転車の実用化に向けた動きが加速している。背景には、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータなどの急速な進展がある。

 日産は今年8月、高速道路の同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載したミニバン「セレナ」を発売した。加速、操舵、制動の複数の操作を一度に行う「レベル2」だ。

 日産は、20年までに一般道を走れる自動運転車を発売する計画だ。トヨタとホンダも、20年頃までに高速道路での自動運転の実用化を目ざしている。加速、操舵、制動をすべてシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する「レベル3」だ。

 その先にあるのは、「レベル4」のドライバー不要の完全自動運転車だ。

 米フォードは、完全自動運転車の量産を2021年までに始めると発表した。独BMWや、スウェーデンのボルボもまた、2021年頃、完全自動運転車の商用化を目ざすと表明している。

 完全自動運転車は、原則としてハンドルもブレーキもない。したがって、車内での過ごし方も違ってくる。走行中に映画の鑑賞もできる。車内が“移動リビング”になるのは、もはやSFの話ではない。

 自動車メーカーは、自動運転の実現に向けて、実証実験を重ねながら、一歩一歩、着実にレベルアップしてきた。

 これに対して、一気にジャンプし、完全自動運転の実現を目指すのが、IT企業だ。米グーグルやアップル、テスラなど、ITの巨人である。

 例えば、グーグルは、09年から自動運転の開発をスタートさせた。12年にネバダ州で公道運転免許が交付され、15年には地元カリフォルニア州での公道実験の認証を取得。現在、55台の自動運転車を毎日、シリコンバレーなどの公道で走らせている。
12月13日、米サンフランシスコで開かれたイベントで披露された米アルファベット傘下の新事業子会社「ウェイモ」の自動運転車(AP)
12月13日、米サンフランシスコで開かれたイベントで披露された米アルファベット傘下の新事業子会社「ウェイモ」の自動運転車(AP)
 グーグルはまた、16年5月、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と自動運転車の開発で提携すると発表した。

 完全自動運転車に必須とされるAI、ソフトウエアの無線による更新、セキュリティ技術などは、IT企業が得意の分野で、自動車メーカーに比べて一日の長がある。グーグルは、車載OS(基本ソフト)の主導権を握る構えだ。

 また、コネクテッドカー(インターネットに常時接続された車)のプラットフォームについても、リードしているのが現状だ。グーグルをはじめIT企業は、ここぞとばかりに、既存の自動車のビジネスモデルを破壊し、新たなビジネスチャンスをつかみとろうと狙っているのだ。