先ほどの例でいけば、7時に郊外から中心部に移動しAさんを下ろした後、Bさんの自宅に行き、Bさんを別の場所に運ぶことになる。クルマを所有していないにもかかわらず、自分が使う時間帯だけは、実質的に占有が可能だ。

 もし急にクルマに乗る必要が出てくれば、もっとも近くにいる空いているクルマをシステムが探して手配してくれるだろう。すべてはスマホ1つで事足りる。1台を占有することに比べてコストは大幅に安く、全員がリムジン感覚で自動車を利用できる社会が到来するのだ。

 この発想をさらに拡張すると、タクシーも無料にできる可能性がある。自動運転車が普及すると、真っ先にタクシーが無人化するといわれているが、先進的な企業はすでにその先を考えている。先ほどの例ではITサービスと自動運転技術が密接に結びついていたことを思い返していただきたい。
無人、無料化も現実味を帯びるタクシー
無人、無料化も現実味を帯びるタクシー
 例えばタクシーを呼ぶ際に、自身の行動履歴、購買履歴を企業に提供したり、指定された広告をスマホで閲覧するなどの条件を受け入れれば、タクシー料金を割り引く、あるいはタダにしてしまうといったことも理論的には可能となる。

 東京のタクシー最大手である日本交通の川鍋一郎会長は、ITを使った無料タクシーについてすでに言及しており、これは決して空想上の話ではない。AI(人工知能)が普及してくれば、スマホの方から「○×に行きたくありませんか?無料タクシーを呼びましょうか?」などとアドバイスしてくることになるかもしれない。

 一連の技術やサービスが普及すると、社会における人の動線が変化する可能性がある。冒頭で小売店や外食産業にも影響があると述べたのはこうした理由からだ。当然、行政による街作りも変わってくるだろう。