自動運転社会では、空いている駐車スペースをシステムが検索し、自動的に駐車スペースに移動してくれる。商業施設や公共施設が広大な駐車スペースを確保する必要はなく、車の台数分の駐車場だけが一定範囲に存在すれば事足りる。

 自動運転車が普及すれば非常に便利な社会になりそうだが、多くの人が懸念しているのはやはり安全性だろう。自動運転車の安全性がどの程度なのかについて、まだ完全な答が得られている状況ではない。

 自動運転車の実証実験中にグーグルが交通事故を起こしたことや、運転支援システム(厳密には自動運転ではないが)を搭載していたテスラモーターズの車が死亡事故を起こしたことなどが報じられ、一部の人は自動運転に対して強い警戒感を持っている。

 米バージニア工科大学の調査では、グーグルの自動運転車の事故率は、一般的な公道での事故率より低いという結果が出ている。事故率の数字はどこまでを事故と捉えるのかで大きく変わってくることや、調査がグーグルの依頼を受けて実施されたことなどを考えると、この結果は、ある程度、割り引いて考える必要があるだろう。ただ、自動運転車の事故率は、人が運転することに比べて突出して高いというわけではない。
グーグルが公道での走行試験をしている自動運転車
グーグルが公道での走行試験をしている自動運転車
 一部の識者は、自動運転が普及すれば、高齢者や若者による暴走事故、飲酒運転による事故を激減できると主張しているが、この考え方に一理あるのも確かだ。

 事故そのものの確率もさることながら、その責任問題をどうするのかについても十分なコンセンサスが得られているとはいえない。自動運転の場合には、すべてメーカー側が責任を負うという考え方もあるが、もしそうなってしまうと、既存の損害保険会社は存続が難しくなってしまうだろう。損保会社は売上げの多くを個人の自動車保険に依存しているからである。

 自動運転車は都市インフラの設計にも影響を与える極めて公共性の高い技術である。最終的にこの技術をどう活用するのかについては、国民的議論を重ねた上で決めていくしかないが、残された時間は意外と少ない。冒頭でも述べたように、自動運転車が目の前に現われてくるまであと数年である。