碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)

 2016年12月31日をもって、解散することになったSMAP。あらためて、その軌跡を振り返り、また彼らの今後について考えてみたい。

 SMAPが結成されたのは1988(昭和63)年である。翌89年1月には、年号が昭和から平成へと変わった。SMAPは昭和最後の年に誕生したアイドルグループなのだ。

 CDデビューが91年。この年は、いわゆる“バブル崩壊”の年であり、そこから「失われた20年」とか、「失われた25年」などといわれる年月が始まった。つまり実質的には25年間の活動だったSMAPは、“平成という名の長い低成長期”と共に歩んできたわけだ。
(イラスト・不思議三十郎)
(イラスト・不思議三十郎) 
 そんなグループが、天皇の譲位が話題となってきた今、解散する。そう聞けば、「時代の変わり目」といった言葉をつい連想してしまう。確かに、“ひとつの時代”の終幕を象徴する出来事なのかもしれない。

 また、多くのヒット曲を持つSMAPだが、彼らの「シングル売上げランキング」のトップ10を見ていると、意外に思うことがある。

 1位の「世界に一つだけの花」(2003年)と、3位の「ライオンハート」(00年)の2曲を除けば、他は第2位の「夜空ノムコウ」をはじめ全てが90年代の楽曲なのである。音楽的なピークは90年代だったとも言えるのだ。

 それにも関わらず、現在までSMAPとして存続してこられたのは、5人それぞれが単独活動も可能な才能を持っていたからであり、その集合体としてのグループが輝いていたからだ。

 2017年から、「SMAPのいない芸能界」、そして「SMAP不在の時代」が始まる。寂しいことではあるが、ファンはもちろん、業界もまた受け入れるしかない。そして、慣れていくしかない。

 その一方で、5人の新たな活躍を見る楽しみが待っていると思いたい。ただし、乱暴な予想としては、5人とも「ソロ歌手」という選択はしないだろう。音楽的に、個人でSMAPの実績を超えるのは、かなり難しい。むしろ音楽以外の場、タレントや俳優としての活動が中心になるはずだ。

キムタクドラマから木村拓哉ドラマへ


 まずは木村拓哉だが、今後、ますます演技力に磨きをかけるだろう。その萌芽は、すでに2015年春のドラマ『アイムホーム』(テレビ朝日系)にあった。これは、いわゆる“キムタクドラマ”ではなかったのだ。脚本も演出も脇役も、ひたすら木村をカッコよく見せることだけに奉仕するのがキムタクドラマなら、この作品は違った。そこにいたのは“キムタク”ではなく、一人の俳優としての“木村拓哉”だった。