影山貴彦(同志社女子大学情報メディア学科教授)

 12月23日、SMAPの『第67回紅白歌合戦』出場が正式になくなりました。5人の連名でNHKに書面で辞退を申し入れたそうですが、それでも私はSMAPに紅白に出てほしかったと思います。彼らに頑なまでの思いはあったにせよ、このまま12月31日を迎えることが本当にいいのか、彼らが自問自答する中で心境に変化があると思っていました。確かに辞退のコメントでも「グループのラストステージをどうするべきか、メンバーそれぞれにずっと悩み考えてきました」と思いをめぐらせたようですが、結局彼らは『SMAP×SMAP』を5人がそろう最後の場に選びました。
(イラスト・不思議三十郎)
(イラスト・不思議三十郎)
 NHKサイドも紅白の放映枠を15分も空けて、ギリギリまで待つつもりで懸命に口説いていたようですね。「出ません」と言っていた5人が紅白にいきなり現れて、演出も装飾もないNHKホールの舞台にいきなり立って『世界に一つだけの花』を歌う。そんな夢物語を想像していたのですが、叶いそうにありません。そんなステージになれば、引退してから辞退を続けていた山口百恵が紅白に出るような出来事に匹敵するサプライズだったでしょうね。

 私はSMAPはスーパースターだと言い続けていますけど、それは熱きファンだけではなく、ファンではない人々にとってもこの上なく気になる存在であることがスーパースターたる一つの条件だと思っています。

 私は大学でメディアエンターテインメント論を教えていますが、あるときファンの教え子たちから「これ以上SMAPのつらい姿を見たくない。先生は紅白に出て欲しいとコメントしていることはうれしいけど、彼らがつらい思いをしてまで出るのであれば、SMAPを引っ張るのはファンとしてつらいです」と言われたことがあります。つらかったのはSMAPだけではなく、熱心なファンや普通の人々も当然さびしい思いをしていたわけですね。

 フジテレビの看板番組だった『笑っていいとも!』が終わったときに「タモロス」が話題になりましたが、タモリさんが他の番組で生き生きしていたこともあって、長くは続きませんでしたよね。残酷な言い方かもしれませんが、5人がSMAPについて沈黙を守る日々を続ければ、あれほどのスーパースターでも普通の人々の「スマロス」が残り続けることはないでしょう。