小島伸之(上越教育大学准教授)

 昨年12月18日、ISIL(イスラム国、ダーイシュ)による自爆テロがイエメンで起こり50人以上が死亡した。翌19日のベルリンでの12人が死亡したトラックテロもISILによる犯行声明が出されている。2014年6月29日の国家樹立宣言以後、ISILに対する有志連合による空爆やシリア軍、イラク軍との戦闘は現在も継続している。テロ活動を繰り返すISILを国家承認した国は存在せず、現段階ではそうした国が生じる傾向は見られない。
ベルリンのクリスマス市でトラックが突っ込んだ事件を捜査する警察
ベルリンのクリスマス市でトラックが突っ込んだ事件を捜査する警察
 一方、「まさか」という事態がたびたび生じるのも歴史の常である。歴史を振り返ってみれば、1917年11月のロシア革命によって成立した世界同時革命を掲げるボリシェビキ政権は、列強による軍事的介入を受け世界的に孤立していた。

 しかし、1922年のドイツ共和国による国家承認を皮切りに、1933年にはアメリカも承認を実施、漸次国際的に承認されていった。2017年には、アメリカの大統領がアメリカ・ファーストという孤立主義的主張を掲げて選挙戦を戦ったドナルド・トランプに変わり、フランスの大統領選も控える。現段階では極めて低いものの、今後国際情勢に大きな変化が生じれば、ISILを国家承認する国が生じる可能性は皆無とは言えない。

 1971年のニクソン訪中宣言による国際秩序の突然の変革(第一次ニクソンショック)の例もある。国際的に不意にババをひかされないよう、情報体制の整備と、客観的な情勢分析に基づく他国依存ではない外交戦略の構築が欠かせないだろう。

 国内に目を転じれば、一昨年と昨年、塚田穂高『宗教と政治の転轍点』(花伝社)、青木理『日本会議の正体』(平凡社新書)、菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書)などの著作が相次いで刊行され、現内閣と日本会議との関係が耳目を集めている。

 特に青木や菅野は日本会議の影響力の増大状況を民主主義の危機としてとらえている点で特徴的であるが、その主張は論理的に難があるようにも思われる。確かに日本会議の主張は反「戦後民主主義」的であるが、それが「地道な草の根運動」や民主制の回路を通じて拡大したとするならば、その状況も民主主義的にもたらされたものといえるからである。

 もっとも、現政権の経済政策、家族・女性政策、外交政策、「移民」政策などを見る限り、日本会議的価値観の影響は限定的であるように思われるのだが。

 鑑みれば、戦後の日本において、1955年の地方選と翌年の参院選創価学会の政治進出、1990年のオウム真理教の真理党の結成、2009年の幸福の科学による幸福実現党の結成などが社会的に注目を集めてきた。