それに、宗教的なものを感じたからだ。集まった20人の議員は、ほとんどがキリスト教徒だ。だからEUを作ったり、欧州議会を作る時にも共通の基盤として、それがプラスに作用したのだろう。宗教があることによって対立するのではなく、寛容になり、対立を乗り越えるバネになっている。そんなことを感じて、8月12、13日の全体会議の時にもそれを感じたが、終わった後に特に感じた。14日に靖国神社参拝、15日は明治神宮参拝、そして16日からは京都、奈良を回り、京都御所も訪れた。

 靖国神社は日本側からは何も言ってない。日本人が参拝しただけで外国から抗議がくるぐらいだから、日程には入ってない。ところが外人議員の方から、ぜひ靖国神社に行きたいという強い要望があって実現したのだ。中まで入り、昇殿参拝もした。宮司さんから、参拝の方法を聞き、それを厳守して参拝していた。ほとんどの人がキリスト教徒なのに…と驚いた。

 この日は日本のマスコミも大勢取材に来ていた。フランス、イギリスなど、さきの大戦での「戦勝国」だ。それなのになぜ、敵国の神社に参拝するのか。それにここはA級戦犯が祀られているのに…という質問があった。これに対し、フランス国民戦線のルペン氏はこう答えていた。「国のために亡くなった人に敬意を示すのは当然ではないか」と。どこの国に行っても、その国のやり方に従って、敬意を表している。ユダヤ教の国ではユダヤ教のやり方で、イスラム教の国ではイスラム教のやり方で敬意を表し、慰霊しているという。これには驚いた。日本人でも宗教が違うからとか、理由をつけて靖国神社に行かない人はいる。それなのに「戦勝国」のキリスト教の議員たちが参拝してくれた。

 さらに遊就館に案内した。ここはかなりイデオロギー的な説明が多い。フランスやイギリスなど西欧列強はアジアを侵略し、それに危機感をもって日本は自衛のため、アジア解放のために立ち上がって戦争したと書かれている。英文の説明もあるし、英語でも説明していた。この説明や時代背景は「戦勝国」の議員にとっては愉快ではないはずだ。「歴史の偽造だ!」「とり外せ」と文句を言われても仕方ない。ところが彼らは「そう思われても仕方ない」「そんな面もあった」「我々がアジアを侵略したのは事実だし」と言う。日本人よりも彼らのほうがずっと寛容だ。