島田裕巳(宗教学者)

 芸能人が新宗教に多く入っているというのは、よく聞かれる話である。インターネットを検索してみると、そのリストを掲げているようなものもある。

 これは、何も日本にだけ限られた現象ではなく、アメリカでも見られることである。

 たとえば、2016年4月に急死したカリスマ的なロック・ミュージシャンであるプリンスの場合には、「エホバの証人」の信者になっていた。エホバの証人は、「ものみの塔」とも呼ばれるが、家庭を廻って伝道活動を行うことで知られている。
2015年11月、音楽賞「アメリカン・ミュージック・アワード」の式典に参加したプリンス(AP=共同)
2015年11月、音楽賞「アメリカン・ミュージック・アワード」の式典に参加したプリンス(AP=共同)
 プリンスは、鎮痛剤であるフェンタニルの過剰投与によって中毒死したという検視報告書が出されているが、彼は深刻な股関節の疾患を抱えていたとされる。ところが、エホバの証人では、よく知られているように、輸血を禁じているため、プリンスは鎮痛剤に頼らざるを得なかったのである。

 ほかに、エホバの証人であったミュージシャンとしては、マイケル・ジャクソンのことがよく知られている。彼は途中で教団を離れるが、それ以前には、顔を隠して布教活動にあたっていた。

 他に、SF作家であるL・ロン・ハバードが創始した「サイエントロジー」には、ハリウッド・スターのトム・クルーズやジョン・トラボルタが信者になっているとされる。

 ただ、アメリカは、最近になって衰退の兆しも見えているが、一般的なキリスト教の信仰が広まっており、キリスト教の信仰をもつ芸能人は無数に存在する。ミュージシャンの場合には、神について歌うことも少なくない。

 ロックの世界でも、神について歌うミュージシャンが少なくない。代表的なのは、ロックンロールの開拓者、エルビス・プレスリーで、彼は、ゴスペル・ソングをこよなく愛していた。エルビスは3度グラミー賞を獲得しているものの、すべてゴスペル部門においてである。