戦後、日本で新宗教が爆発的に伸びたのは、高度経済成長によって、地方から都市部への大規模な人口の移動が起こり、都市部には、地方にはあった人間関係のネットワークを外れた人間が大量に生まれたからである。そうした人間たちを、新宗教は組織の力で救ったのである。

 現在の企業は大きく変容し、非正規雇用も増えてきたが、昔は、終身雇用、年功序列を基本とする「日本的経営」が特徴で、社員の冠婚葬祭までもになっていた。つまり、企業は一つの「村」だったわけである。

 地方の村から出てきた人間が、企業という村に組み込まれれば、安心感を得ることができたが、芸能人にはその村がなかった。そこで、新宗教に村を求めたのである。

 ただ、最近ではたいぶ様相が変わってきている。

 たしかに、今でも新宗教に入っている芸能人はいるし、創価学会に所属するタレントが多く出演しているテレビ番組などもある。

 だが、最近では、新宗教に入っている芸能人のリストなども更新されなくなったし、若い芸能人が入信しているという話も聞かなくなった。

 それは隠れているだけだと言う人もいるかもしれないが、たとえば、創価学会の場合、支部の集まりなどに出て公然とした活動を展開しなければ、入信している意味がなく、周囲の信者からも仲間とは見なされない。「隠れ信者」など存在しないのだ。

 そこには、私が『宗教消滅』(SB新書)でも指摘したように、新宗教の全般的な衰退という事態が関係している。新宗教の教団は軒並み信者数を減らし、この20年間で半減しているところが少なくない。

 創価学会にしても、高齢化が進んでいるし、若い会員は年配の会員に比べて、熱心には活動しない傾向がある。

 唯一、新宗教のなかで伸びているのは真如苑だが、ここは、組織としての活動が弱く、従来の新宗教と同列に扱うことができない。

 その点で、芸能人も、現在では宗教にすがらなくなっていると言えよう。新宗教は組織活動の場を提供することで、心の拠り所となってきたが、現代の人間は、組織活動を嫌う。芸能人なら、なおさらその傾向が強い。新宗教の時代は、基本的に終焉に向かっているのである。