2017年01月06日 15:41 公開

マット・マグラス環境問題編集委員

巨大な氷山が南極から分離し漂流し始める可能性があることが、研究者らの調査で明らかになった。氷山の大きさは過去に観測されたもので十指に入るという。

南極半島の東側にある「ラーセンC棚氷」にできた割れ目が先月、急激に拡大し、接触部は20キロまで減少したという。分離すれば5000平方キロメートルの氷が漂流し始めることになる。

ラーセンCは、南極の主要な棚氷で最も北に位置する。

英南西部にあるスウォンジー大学の研究者らは、分離が起きれば棚氷全体でさらなる分離の可能性が高まると指摘している。

ラーセンCは厚さ約350メートルで、西南極の先端に位置し、氷河の終着点になっている。

1995年にはラーセンA棚氷が崩壊、2002年にはラーセンB棚氷が突然崩れており、研究者らの懸念を呼んでいた。

英国に本拠を置く研究グループ「MIDAS」は昨年、ラーセンC棚氷の亀裂が急速に広がっていると報告していた。

先月には、亀裂の拡大ペースが急激なものとなり、数週間で割れ目が18キロ伸びた。

スウォンジー大学のエイドリアン・ラックマン教授はBBCニュースに対し、「あと数カ月で分離しなければ、驚きだ」と語った。

同教授は、「雲がかかっていない(地球観測衛星)ランドサットの写真が十分ないが、欧州宇宙機関のセンチネル1のレーダー画像数枚から、亀裂拡大が分かった。あまりにも分離目前なので、避けられないことだと思う」と話した。

ラックマン教授は、分離しかけている氷は5000平方キロメートルあり、大きさは過去に観測されたものの10位以内に入ると指摘した。

研究者らは、棚氷の分離は気候変動に関連した現象ではなく、地理学的なものだとしている。亀裂は数十年にわたって存在しており、最終的な分離に近づいた状態にあるのだという。

地球温暖化が棚氷の分離を加速させていると考えられてはいるが、直接的な根拠は示されていない。

しかし、研究者らは分離が棚氷全体に与える影響を懸念している。ラーセンBが2002年に崩れた直前には、同様の亀裂が起きていた。

ラックマン教授は、「異論もあるが、残った棚氷が現在よりも不安定になるのは確実だと我々は考えている」と語った。

「今後何カ月か、何年かにわたって(棚氷の)分離が続くだろう。最終的には崩壊するかもしれない。しかし、予測は非常は難しく、すぐに崩壊するといったことは起きないにしろ、安定性が低下すると、我々のモデルは示している」

分離でできた氷山が海に浮かぶことが海面上昇につながるわけではない。しかし、棚氷がさらに崩壊すれば、背後にある氷河が海に流れ込む速度が増す。これは海に浮かばないため、海面の高さに影響をもたらす。

ラーセンC棚氷が現在せき止めている氷のすべてが海に入れば、海面は10センチ上昇すると推計されている。

すべてはまだ先の話だ。現在はっきりしているのは、南極大陸の氷の海岸線が変化するだろうということだ。

ラックマン教授は、「最終的な結果としては、棚氷が今後何年か、もしくは数十年かで崩壊する可能性がある」と語った。

「この地域が海面に与える影響でさえ、近いうちに起きると思っている人はいない。単に土地形状を変える地理学的な現象だ」

(英語記事 Huge Antarctic iceberg poised to break away