石川和男(社会保障経済研究所代表)

 2022年までに「脱原子力」を目指しているドイツでは2016年10月、原子力発電所から出る使用済燃料の中間貯蔵と最終処分に要する経費として計236億ユーロ(約2.9兆円;1ユーロ=122円で換算。以下同じ)を四大電力会社に支払わせる法案が政府決定された。議会での審議を経て、年内での成立が目指されている。

 具体的には、中間貯蔵施設と処分場の建設・操業事業については政府に移管するが、それに要する費用については電力会社に負担させようという内容。四大電力会社は、①使用済燃料の専用格納容器である「キャニスター」とその中間貯蔵施設の製造、最終処分場の建設・操業に必要な174億ユーロ(約2.1兆円)を政府が設ける新たな基金に直ちに拠出する、②2022年末までに62億ユーロ(約0.7兆円)を追加で拠出する、③これらの支払完了後には、更なる支払義務を負わせない、というもの。

 そして、将来的な中間貯蔵と最終処分に係る経費の調達については、政府が責任を負うことになる。放射性廃棄物の管理事業に係る官民の責任分担を明確にすることが目的であるこの法案の内容は、廃棄物管理コストを電力会社に全額負担させるとの従来からの政府方針を覆すものでもある。(以上、原子力産業新聞その他専門紙より一部引用)
日本原燃の再処理工場内にある使用済み核燃料貯蔵プール=2013年6月、青森県六ケ所村
日本原燃の再処理工場内にある使用済み核燃料貯蔵プール=2013年6月、青森県六ケ所村
 では、日本はどうなっているのだろうか? 
 
 端的に言えば、ドイツのような明確な官民の費用負担区分はない。日本では、使用済燃料の管理事業は電力会社に全面的に委ねられており、管理コストも電力会社の拠出によることが原則となっている。最終処分に関しても同様だ。

 日本では、原子力発電所敷地内の使用済燃料貯蔵設備の増容量化や、中間貯蔵施設の建設・活用などの対策を実施することで、青森県六ヶ所村の日本原燃・六ヶ所再処理工場への搬出に加えて、電力業界全体で2020年頃までに約4000トン、2030年頃までに約2000トンで、合計約6000トン(2016年9月末時点の各発電所貯蔵量合計の約4割相当)の貯蔵対策を目指すことになっている。

 東京電力と日本原子力発電が使用済燃料を搬出することとしている中間貯蔵施設(青森県むつ市)は、2018年後半の事業開始を予定。関西電力は、2020年頃に中間貯蔵施設の建設計画地点を確定し、2030年頃には2000トン規模で操業開始する計画。原子力発電所の敷地内のプールで5年ほど冷やした使用済燃料を金属製の容器(キャスク)に密封して空気で冷却する「乾式貯蔵」による中間貯蔵施設については、中部電力で2018年の使用開始を目指して建設計画が進められている。