①再処理前の中間貯蔵

<a> プール貯蔵(湿式貯蔵)を1年間行うことに要する費用:年間35億円

…概算値として、使用済燃料5000トンに係るプール貯蔵の運転費1395億円を40年で均等で支出するものと仮定すれば、年間35億円(=1395億円÷40年)となる。

<b> キャスク貯蔵(乾式貯蔵)を1年間行うことに要する費用:年間6億円

…概算値として、使用済燃料5000トンに係るキャスク貯蔵の運転費1200億円を5施設、保守的に40年で均等で支出するものと仮定すれば、年間6億円(=1200億円÷5施設÷40年)となる。

②再処理後の中間貯蔵

<c> ガラス固化体の貯蔵を1年間行うことに要する費用:年間96億円

…上記<a>、<b>の試算の前提とした使用済燃料5000トンと同等のガラス固化体は約6300本と試算されるので、ガラス固化体2880本と同規模の施設は2.5ヶ所必要になると仮定。管理費用のうち「貯蔵費 運転保守費」と「貯蔵費 その他諸経費」の合計1540億円が対象となるので、ガラス固化体約6300本を1年間貯蔵する費用は、年間96億円(=1540億円×2.5施設÷40年)となる。

 以上は、政府資料に基づいて行った一つの試算でしかない。政治や行政はうかうかしていてはいけないが、最終的に必要となる費用を確保するための手段を臨機応変に用意しておくべきである。こうした超長期的視野に立った幅のある政策運営を行うことが、もっとも現実的な『原発ゴミの正しい処し方』となろう。

 日本の原子力発電の稼働率は、諸外国に比べて相当に低いと言わざるを得ない。特に震災以降はほぼゼロで推移してきている。ここ10年程度での概ねの推移を見ると、欧米や韓国での稼働率は80~90%台だが、日本は震災前の2003~2010年までを見ても、70%未満でしかない。日本の原子力発電の稼働率を欧米並みに引き上げることで、これまで遅れに遅れてきた再処理や最終処分に係る費用に充てるための原資を捻り出すことを検討していくべきだ。

 こうした追加費用の総額は、使用済燃料を再処理するまでの期間や、ガラス固化体の中間貯蔵の期間を、最終的にどの程度にまで見込んでおくかにもよる。原子力発電からの収益をあらかじめ引き当てておくことで凌いでいける水準だと思われる。

 いわゆる「トイレなきマンション」説は、政府を急かす材料にはなるだろうが、本質的な危機を招くものにはならない。使用済燃料を再処理する前と後で、それらの貯蔵に係る時間軸をどのように設定するかが鍵となる。