小林信也(作家、スポーツライター)



 違法カジノ店での常習的な賭博行為がわかり、所属先を解雇され、日本バドミントン協会から無期限の資格停止処分を受けた田児賢一が、昨年12月、マレーシアのプロリーグで現役復帰した。そして昨年暮れ、テレビ朝日の番組で直撃インタビューに応じた様子が紹介された。
 
 より重い処分を受けた田児が、まだいつ謹慎が明けるかわからない桃田賢斗より先にバドミントンコートに戻ったのはある意味皮肉だ。が、海外で選手生命をつないだ田児には、日本代表としてオリンピックや世界選手権などに出場する道はもう残されていない。その活躍次第で、日本以外の国の代表として国際舞台に立つ日が来るのかどうか。

マレーシアでプロデビュー復帰戦をストレート勝ちで飾った田児賢一(AP)
マレーシア・プロリーグのデビュー戦をストレート
勝ちで飾り、競技復帰した田児賢一(AP)
 田児の復帰で次に注目されるのは、田児に誘われてやはり違法カジノ店に出入りし、リオ五輪への出場が断たれた桃田の復帰のタイミングだ。桃田は解雇を免れ、一カ月間の出場停止処分の後、いまも処分が明ける日が見えない状態で練習に取り組んでいる。復帰は丸一年が過ぎる今年5月以降ではないかとの見方もある。

 一年という出場停止期間が充分な長さなのか短いのかを論じるのは難しい。海外とはいえ、プロリーグで田児がプレーし始めたのに桃田に機会が与えられないのは罰が重すぎるとの声も上がってくるだろう。まして、国が積極的にカジノ法案を拙速に成立させた社会的な状況がある中で、賭博行為そのものの善悪の基準も揺らいでいる。もちろん、違法カジノ店は当時も今後も非合法だが、賭博自体は国が推進の立場なのだから、一年を超える資格停止を桃田および彼を応援する立場の人たちが受け入れるだろうか。

 事件が発覚したとき、桃田が語った言葉がずっと気にかかっている。勝負の世界に生きる選手である以上、ギャンブルの興奮は断ちがたい、というようなニュアンスで、桃田は違法カジノに通った理由を語った。

 このことに違和感を覚えた人は少なかったようだが、私はこの言葉に問題の核心といまスポーツが抱える課題が凝縮されていると感じた。