ここまで使用済み核燃料イコール高レベル放射性廃棄物として述べてきたが、フィンランド、スウェーデン、米国などが使用済み核燃料をそのまま高レベル放射性廃棄物として埋設する(直接処分と呼ばれる)のに対して、日本は使用済み核燃料からウランとプルトニウムを化学的に分離する再処理をしたあと、その残りをガラスで固めたガラス固化体を高レベル放射性廃棄物として埋設する。

九州電力川内原発で、低レベル放射性廃棄物保管容器の固定状況を調べる作業員=9月27日午後、鹿児島県薩摩川内市(九州電力提供)
九州電力川内原発で、低レベル放射性廃棄物保管容器の固定状況を調べる作業員=9月27日午後、鹿児島県薩摩川内市(九州電力提供)
 再処理の工程では、使用済み核燃料の放射性物質のうち一部は、ガラス固化体にされる高レベル放射性廃液とは別に分離されてしまい、再処理工場で発生する放射性廃棄物(TRU廃棄物と呼ばれ、分類上は低レベル放射性廃棄物)として扱われる。こうした使用済み核燃料に由来するTRU廃棄物は高レベル放射性廃棄物と同様に扱う必要があるため、地層処分の対象となり、ガラス固化体と同じ処分地に埋設される可能性が高い。その中にはヨウ素など地下水中を移動しやすい放射性物質が含まれているため、TRU廃棄物を地層処分した場合の将来の人類の仮想的な被ばく線量の試算の標準例は、ガラス固化体を地層処分した場合の100倍以上大きく、放射性物質が漏れだす時期もかなり早い。しかし、地層処分を進める側の説明では、このことがきちんと示されていないことが多い。

 地層処分されるTRU廃棄物には、燃料集合体の末端部や被覆管の断片など強い放射能をもつ部分ばかりを集めた廃棄体がある。これらは埋設時に人間が近づいて作業できる程度にまで放射線を遮れないほど放射線レベルが高く、完全に遠隔操作で埋設される予定である。こうした廃棄体の埋設時にトラブルが生じたときの復旧は、非常に困難を極めることになる。

 そもそも再処理はプルトニウムを核燃料として利用するために行うのだが、プルトニウムを含む核燃料(MOX燃料)を既存の原子炉で使うこと(いわゆるプルサーマル)は採算性が低く、実施も進んでいない。そのため使用済みのMOX燃料をさらに再処理する可能性は非常に低く、そのまま直接処分の対象となる可能性が高い。ところが使用済みのMOX燃料は、通常のウラン燃料の使用済み核燃料とは放射性物質の組成が違い、原子炉から取り出して100年程度では埋設が可能になるほどまで発熱が弱まらず、非常に長期にわたって地上保管を続けなければならない。地層処分を選択するのなら、再処理・プルトニウム利用は大きな負担を将来世代に残すことになる。

 実は、これまで再処理は、使用済み核燃料を地層処分する直接処分に対して、地下の処分場に必要な面積が小さくできると宣伝されてきた。これは、再処理でプルトニウムを分離するため、ガラス固化体の放射線による発熱量が小さくなるためである。しかし、取り出したプルトニウムを核燃料として利用したあとまでを考えると、再び再処理できない場合、上に述べたように処分場の面積低減以上のデメリットをもつ大変な厄介物になってしまう。将来、どの程度の規模で原子力利用を続けるのかは、現在では不透明であり、下方修正も迫られている。こうした現状を踏まえれば、高レベル放射性廃棄物の地層処分という観点から、再処理やプルトニウム利用の核燃料サイクル政策の進め方も見直すべきである。