マイナーアクチノイドはエネルギーの大きい放射線を出すため、発熱も大きく生物への影響も大きいので、マイナーアクチノイドが減ると処分場の面積や有害度と呼ばれるものは減る。しかし、核分裂によって新たに高レベル放射性廃棄物が生み出され、そのうちの一部はマイナーアクチノイドと違って地下水に溶けて移動しやすく、しかも長寿命の放射性物質になるので、地層処分にとっていいことずくめでもない。そもそも1基の高速炉で処理できるマイナーアクチノイドの量はそれほど多くなく、このようなことを実施するには、現状でうまく進んでいない再処理よりも、更に手の込んだ再処理を軌道に乗せることが必要である。つまり高速炉による高レベル放射性廃棄物の低減は絵に描いた餅であり、高速炉開発を継続するための口実にすぎない。
メディアに公開されたフィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」の内部。地下約450メートルの最深部に使用済み燃料を埋める穴が試験的に掘られていた=2016年4、フィンランド・オルキルオト島
フィンランドの放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」の
内部。地下約450メートルの最深部に使用済み燃料を
埋める穴が試験的に掘られていた
=2016年4月、オルキルオト島
 高レベル放射性廃棄物を地下に埋設するのではなく、地上や浅い地下で保管することは、将来の人間社会がどうなっているのか予測できないため管理の継続に不確実さがあり、またテロや戦争、災害などの脅威にもさらされるとして、原子力利用を推進する立場からは却下されている。しかし、高レベル放射性廃棄物が地表付近にあることがどれだけ危険なのか、具体的に示されているわけではない。

 人間がテロや戦争を起こすのならば、そもそも原子力発電所の存在はどう考えるのか。また原子力利用から撤退しても、最後に発生した使用済み核燃料の地層処分まで50年もの時間を必要とする。地層処分をしながら大々的に原子力利用を推進することは、こうした矛盾を抱えている。そうした意味でも地層処分は消極的にしか選べない選択であり、こうした課題に真摯に向き合わなければ、原子力利用の賛否が分かれている現状で、国民的な合意を得るのは難しい。

 筆者の経験では、原子力への批判的な意見を聞く度量のある関係者であっても、たいていは「わかっていて反対するのはいいが、よくわかっていないのに反対するのはダメ」という言い方をする。これは裏を返せば「よくわかっていなくても賛成ならOK」ということになる。原子力発電を稼働し、処分事業も進める以上は、社会から信頼を寄せられる姿勢であたってほしいと筆者は願っているが、福島第一原発事故を経験しても、このような上から目線の姿勢でいるならば、国民から信頼されるということについて、真の意味で向き合っているとは言えないであろう。