高橋洋一(嘉悦大学教授)

 公務員が恵まれているものとして、給料、共済年金が恵まれていること、年休が自由にとれることなどがしばしば挙げられる。それに加えて、倒産がなく失業がないこと、雇用保険を払わなくてもいいことも公務員優遇とされている。

 これらの根っこにあるのは、公務員は民間の大企業並みであるという制度だ。大企業なのだから給料は一般企業より高い。大企業の年金は、個人の基礎年金、一般企業の厚生年金の他に、独自の上乗せ年金があり充実している。年休など福利厚生についても大企業は一般企業よりもいい。

 役所は、民間の基準を大企業並みとしている。それによって、結果として公務員の給料の優遇がもたらされている。
 さらに、事実として大企業は一般企業より倒産する確率が低い。このため、公務員は雇用保険料も払わない。

 普通の経済原理では、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンである。しかし、公務員の待遇については、ローリスク・ハイリターンになっている。

 こう考えてくると、倒産しない役所の公務員を、給与面などで大企業並みとする制度がおかしいと考えるべきだが、それにメスを入れる政治家は少ない。

 制度というが、官民の様々な比較をするのが、人事院である。この組織は、国民のためではなく、公務員改革においてしばしば「抵抗勢力」になっている。人事院は、国家公務員がストライキできないなど労働基本権が制約を受けているので、その代償措置として設けられている中立的かつ独立性の強い機関である。そのためなのであろうか、その調査は公務員にとって「やさしい」ものだった。

 何よりもまず人事院の調査は、優良大企業に偏っている。事業所従業員数50人以上の企業を調査しているというが、調査数1万社のうち500人以上の企業は4000社程度、100~500人の企業も4000社程度、50~100人の企業は2000社程度となっている。

 一方、国税庁でも同じような調査(民間給与実態統計調査)を行っている。その調査では、従業員1人以上の企業を調査し、調査2万社のうち500人以上の企業は8000社程度、100~500人の企業は3000社程度、100人未満の企業9000社程度を調査している。その結果、人事院調査での民間給与は国税庁調査より高くなっている。

 一昨年8月に出された人事院勧告では、民間給与は月収40万5539円、国家公務員給与は減額前で月収40万5463円、減額後で月収37万6257円と書かれている(除くボーナス)。これにより官民の差をなくすように国家公務員給与が改訂される。今ベースとなる民間給与は、年収換算すると486.6万円になる。

 一方、昨年9月に出された国税庁の民間給与実態統計調査では、年収349万円だ。本当に官民格差をなくすなら28%のカットでもいい。