荻原博子(経済ジャーナリスト)

 経済の先が見えなくなっている中、多くの人が、老後不安に怯えています。生活保護受給世帯のうち、65歳以上の高齢者が過去最多の82万6656世帯となり、受給世帯の中で50・8%と半数を超えました(3月時点)。低年金や無年金で老後を迎える高齢者も増えていて、こうした世相を反映して、「下流老人」「老後破綻」などという本も売れています。誰もが老後に不安を感じる中、老後の不安がほとんどないのが公務員。なぜなら、彼らには老後を支える、「豪華4階建て」の年金が用意されているからです。
財務省の正門=東京都千代田区
財務省の正門=東京都千代田区
 「豪華4階建て」などと書くと、違和感を持たれる方もいることでしょう。なぜなら、公務員が加入する共済年金は、昨年10月に厚生年金と統合され一元化しているからです。それまで、公務員が加入する共済年金は、「国民年金」「共済年金」の上に「職域加算部分」という年金がつく3階建てでした。いっぽう厚生年金は、「国民年金」と「厚生年金保険」の2階建て。これが、官民格差につながるということで、公務員も厚生年金同様に2階建ての年金になったはずでした。

 ところが、実際には一元化するといいながら、公務員だけには、今までの「職域加算部分」に代わる「年金払い退職給付」という新しい年金がつくられ、しっかり3階建てになっています。なぜ、こんなことになったのかといえば、そもそも今回の年金の一元化という話は、表向きは官民格差の是正ですが、実際には公務員の年金を守るために行われたことだったからです。

30年前に閣議決定されながら放置された「年金の一元化」


 そもそも、「年金の一元化」は、1984年の中曽根内閣時代に閣議決定されています。ですから、本来ならばとうの昔に実現していてもおかしくない話でした。けれど、それが進まなかったのは、厚生年金よりも有利な3階建ての共済年金を手放すことに官僚が抵抗し続けたからです。では、なぜここにきて、一元化の話が急にスムーズに進んだのか。それは、共済年金が破綻しそうな状況になってきたからです。

 たとえば、国家公務員共済を見ると、平成2年には組合員数112万人に対して年金受給者は66万人でした。ところが、1981年の118万人をピークに組合員が減少し続け、2012年に組合員が106万人になっています。いっぽう年金の受給者はうなぎ上りに増えて、2012年にはなんと年金受給者が124万人になっています。106万人で124万人を支えるということは、1人で1・1人の受給者を支えるということ。