今年1月1日現在の住民基本台帳に基づく全国人口は、1億2643万人と発表された。これは前年マイナス24万人あまりで、5年連続の減少となった。全国1748市区町村の82.4%を占める1440自治体で人口が減少。3大都市圏をみても人口増を続けているのは東京圏のみになっている。

 このままいくと2040年には1748市区町村中、49.8%にあたる896市区町村が「消滅可能性都市」になる、とする衝撃的な推計結果が5月に発表された。増田寛也元総務大臣が座長を務める「日本創成会議」が明らかにした試算は、「増田リスト」とも呼ばれて自治体関係者にショックを与えた。

 この試算は、人口を維持するうえで「20~39歳女性の数」に着目したことが特徴である。この年代が2040年までに半減する自治体では、人口の再生産力が失われ将来的には消滅するおそれが高いとした。高齢化の進展で地域の雇用が維持できず、若い世代が大都市とりわけ東京圏に流出する社会移動の趨勢が、今後も収まらないと想定したことにより、従来の人口推計よりも厳しい見立てとなった。

 東京がブラックホールのように全国から人口を吸い上げる「極点社会」を回避するためには、「地域拠点都市」を核とする集積を形成して、人口流出の防波堤をつくることが必要だと増田氏は指摘する。
 従来の人口推計では、2050年にはわが国の総人口は1億人を割り込み、約9700万人になると予測されている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」平成24年1月中位推計)。政府は6月にまとめた「骨太の方針」で「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」とし、はじめて人口減少社会への対応を盛り込んだ。

 国土交通省が2050年を見据えてとりまとめを進める「国土のグランドデザイン骨子」は、人口減少とともに地理的偏在が加速すると指摘する。現在は、国土面積の約5割に人が居住しているが、その約6割で人口が半減以下となり、うち約2割は人が住まなくなると予測している。人口規模別にみても、全国平均の減少率マイナス24%に対して、人口1万から5万でマイナス37%、1万未満ではマイナス48%と推計されている。地方圏では、人口減少時代から自治体消滅時代に突入することがここでも明らかだ。

 こうした地域の将来像について、骨子は「地方都市は、周辺の市町村と相互に機能を分担し、補完し合う関係に」と指摘。「生活の拠点となる人口10万人以上の都市から交通1時間圏内にある、複数の市町村からなる人口30~50万人程度の都市圏等」として「高次地方都市連合」という概念を提示している。注釈には、「平日はブロック中枢都市で働き、休日は田舎で両親の介護を行うなど、ブロック内での地域間の連携により東京への人口移動の防波堤にも」という文言がある。急激な人口減少で引き起こされる国土利用の歪みを少しでも緩和するための望ましいライフスタイルと読み取ることができそうだ。

 総務省においても、5万人規模の市を中心市とする「定住自立圏」に加えて、20万以上の市を中心とする「地方中枢拠点都市」が検討されている。地方自治法には、今年新たに市町村間の「連携協約」が制度化された。また、過疎地や離島など一定規模の母都市が存在しない地域で、府県などによる垂直補完も可能にする「事務の代替執行」も導入された。

 人口減少の加速は、市町村や都道府県に意識変革を促している。ひと言でいえば自治体間の「垣根を取り払う」時代が到来したということだ。わが国の市町村自治の歴史は、数次の合併を通じたフルセット型自治の充実強化であった。しかし、本格的な人口減少時代を迎えた今、自治体像の歴史的転換が求められている。その際、新たな制度の枠組みを用意することはもちろん必要であるが、それを上手に活用できるか否かは、自治体の長や議員、職員、ひいては住民も含めて、現実を直視した意識改革が進むかにかかっている。