12月1日が世界エイズデーに決まったのは、1988年のことだった。つまり、今年は27回目の世界エイズデーを迎えることになる。20世紀終盤以降、最も成功した「記念日」と評価されているが、最近は国際的にも、国内でも、いまひとつ関心が高まらないような印象も受ける。

 厚労省と公益財団法人エイズ予防財団は毎年、その時期にふさわしいテーマを設定して世界エイズデーの国内啓発キャンペーンを実施している。今年のテーマは『AIDS IS NOT OVER~まだ、終わっていない~』である。

 わざわざ『終わっていない』と強調しなければならないほど、『あれ? エイズの流行って、まだ続いているの』という感覚が社会に広がっているのかもしれない。秋口にはデング熱、いまならエボラに対しては、マスメディアもどかどか報道しているが、エイズの病原ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染に対してはあまり関心が向かない。現実にHIVに感染している人が社会の中で働き、勉強し、一緒に生きていることにも、あまり想像力が働かない。

 厚生労働省のエイズ動向委員会の集計によると、昨年1年間の国内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数は合計1590件で、過去最高だった。あくまで報告ベースの数字であり、実際に毎年、どのくらいの人がHIVに感染しているのかは分からない。だが、エイズの流行は日本国内でもまだ、まったく終わっていないということは確実に言える。

 国内で新たにHIVに感染したり、エイズに発症したりした人の報告件数は2004年に1165件と初めて1000件を超え、その3年後の2007年には1500件に達している。以後は小さな増減を繰り返しながらも毎年1500件前後の報告が続き、動向委員会は現状を「高止まりのまま、横ばい」とみている。

 エイズ&ソサエティ研究会議、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス、aktaの3つの特定非営利活動法人とエイズ予防財団が運営するHIV/エイズ分野の情報共有型キャンペーン「コミュニティアクション」(Community Action on AIDS)の公式サイトには、今年のテーマ『AIDS IS NOT OVER~まだ、終わっていない~』に関する趣旨説明が掲載されている。以下に紹介しておこう。

【テーマ趣旨説明】
 治療の進歩によりエイズの原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染したHIV陽性者が長く生きていくことが期待できるようになりました。これはエイズ対策の目覚ましい成果であり、社会的にはすでに数多くのHIV陽性者が働き、学び、生活していることを意味するものでもあります。

 HIVに感染している人もしていない人もすでに一緒に生きているという現実を直視すれば、エイズ対策は治療の進歩により役目を終えるわけではなく、職場や学校、医療機関、そのほか生活のさまざまな場所で、HIV感染にまつわる偏見や差別をなくし、HIV陽性者が安心して生活していけるような社会的条件を整えることが新たな課題としてますます重要になっています。

 エイズ対策はまだ終わっていません。

 一方で、厚生労働省のエイズ動向委員会によると、昨年1年間の国内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数(確定値)は1590件と過去最多でした。毎年の報告数は2007年以降7年連続で1500件前後のまま推移しており、なおかつ昨年は過去最多だったのです。今年も同様の傾向が続いています。あくまで報告ベースの数字ではありますが、報告から推測されるHIV感染の流行も依然、続いていると考えなければならないでしょう。

 エイズの流行も終わっていません。
 東京では今年4月27日、セクシャルマイノリティの人権を訴える東京レインボープライド2014のパレードが行われました。そのパレードにはHIV陽性者への理解と差別や偏見に対する闘いを呼びかけるLiving Together計画も「AIDS IS NOT OVER ~ エイズはまだ終わっていない」というメッセージを掲げて参加し、HIVに感染している人もしていない人も、ともに都心の目抜き通りを行進しました。

 エイズの流行も、その流行に影響を受けている人たちの闘いも、まだ終わっていない。2014世界エイズデー国内啓発キャンペーンはそのメッセージを共有し、「AIDS IS NOT OVER ~まだ終わっていない~」をテーマにしています。

※このページに使われている2枚目写真と「エイズ基本情報内写真」「トップ画像」は、HIV/エイズ分野の情報共有キャンペーン「コミュニティアクション」がポスターとして作成したものです。下記サイトからプリントアウトして使用することができます。
 《ポスターができました》