松竹伸幸(ジャーナリスト、編集者)

 大学1年生で「赤旗」の購読を開始し、すでに43年。その間、忙しい時も病気の時も、1号も欠かさず読んできた(最近はあとでまとめ読みすることも増えたが)。読者としていろいろ注文はあるけれど、ここでは1つだけ述べておきたい。野党共闘の時代における「赤旗」は、共産党のなかに存在する多様な個性を映し出すものになるのが望ましく、そうでないと共闘も本格的には実らないのではないかということである。
日本共産党党大会の会場に置かれた党機関紙「しんぶん赤旗」=1月15日、静岡県熱海市(酒巻俊介撮影)
日本共産党党大会の会場に置かれた党機関紙「しんぶん赤旗」=1月15日、静岡県熱海市(酒巻俊介撮影)
 「共産党には個性がない」とよく言われる。それは、ある意味では正しく、別の意味では正しくない。

 個性のなさを指摘する人の多くは、「赤旗」を見たり、議員や候補者の演説を聞いてそう感じるのだろう。それなら当然だ。「赤旗」は共産党の見解を伝えるものであって(議員や候補者の演説も同じだ)、共産党の見解が特定の問題について2つも3つも存在するなんてあり得ないからだ。

 ただし、個々の共産党員の見解が、常に共産党と一致しているかというと、そんなことはあり得ない。30万人もいるのだから、これも当然だろう。

 ただ数が多いからというだけではない。党員の多くは団塊の世代に属する。若い頃は学生運動で、その後は労働運動などにおいて、自分の頭で考え、行動してきた世代である。新しい問題が生じたとして、共産党が見解を発表するまでは自分で考えないということはあり得ず、その結果、いろいろな問題で独自の認識に達するのは自然なのだ。

 それが結果として共産党とは異なる見解になることもあり得る。だから自由な意見交換ができる共産党の集まりに参加すると、それぞれの個性が豊かなことには、誰もが驚かされるだろう。若い党員だって、過去のいきさつに縛られない分、自由で豊かな発想をしている。

 例えば中国に対する評価などは、30万人が一致するなどということから、もっとも遠いところに位置する。共産党の綱領は中国を「社会主義をめざす国」と規定しているが、研究者を含む党員のなかでは、中国を社会主義だとみなす人もいれば、資本主義だと疑わない人もいて、激しい論争がある。また、党員の少なくない部分は、綱領の規定にもかかわらず、中国を社会主義だと国民に説明することに躊躇する傾向がある。