竹田恒泰(作家)

 天皇陛下の譲位への対応を検討している首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)は一月二十三日、総理官邸で第九回目となる会議を開き、「論点整理」を安倍総理に提出した。
天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議の今井敬座長(右)から論点整理を受け取る安倍首相=1月23日、首相官邸
天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議の今井敬座長(右)から論点整理を受け取る安倍首相=1月23日、首相官邸
 有識者会議は今後、さらに専門家からのヒヤリングを実施して、四月上旬頃までに最終報告を提出すると伝えられている。よって、今回公表された「論点整理」は、ヒヤリング途中における論点を整理したものであって、最終的な見解が示されたものではない。しかし、今上天皇一代限りの措置とする方針が色濃く滲む内容だった。

 公表された文面には、陛下の御公務を軽減するための複数の方策が示され、それぞれの論点につき、それを肯定する意見と懸念する意見が列挙されている。論点ごとに賛否の両論を書くことで、現時点で政府に具体的方向性を示すのを控える意図があるように見受けられる。

 有識者会議は、その正式名称を見ても分かるように、あくまでも御公務の負担軽減を検討するものであって、陛下の譲位ありきではない。譲位の可否自体から検討している。

 論点整理は、現行制度で御公務を軽減する方法を検討することから始まっている。第一に、国事行為や公的行為を軽減可能であるか、第二に、臨時代行制度を活用することの可否が検討されている。これらの点については、抜本的な解決にならない印象を受ける。
 
 続けて、現行制度では天皇の意思能力が失われた場合に設置される摂政の制度を、天皇が高齢な場合にも設置できるようにすることが検討されている。

 有識者会議における有識者ヒヤリングでは、譲位そのものに反対する論者も多かった。臨時代行や摂政で対応すべきとの意見は、この点を肯定する立場になる。

 特に摂政制度の活用を肯定する意見には、譲位による問題を回避しつつご負担を軽減することができるという指摘があり、一定の説得力がある。だが、陛下は昨年八月八日「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」と仰せになった。陛下は摂政には否定的であられるため、摂政で対応することには根強い反対論がある。

 論点整理は続けて譲位に関して、第一に、譲位を実行するか否か、第二に、譲位を実行する場合に、それは将来の全ての天皇を対象とすべきか、第三に、あるいは今上天皇一代限りを対象とすべきかの各論点を、順次検討している。