三浦瑠麗(国際政治学者)

1月解散を見送った理由


 安倍政権が噂されていた1月解散を見送った理由について、直接的な理由は単純でしょう。要は、大義名分がない、勝算がないということです。
自民党役員会に臨む安倍晋三首相(中央)ら=1月5日、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)
自民党役員会に臨む安倍晋三首相(中央)ら=1月5日、東京・永田町の自民党本部(斎藤良雄撮影)
 前回の総選挙ではアベノミクスは道半ばですと言って闘いました。自民党からすれば幸いにして、国民からすれば不幸なことに、現在の野党は体系的な経済政策を語る能力も意思もありません。したがって、国民の最大関心である経済政策について、自民党だけが経済政策を語り、国民も権力の負託を継続する意思を下したわけです。

 今また、解散したとして、どんな大義名分で戦うのでしょうか。まだまだ「道半ば」ですが、それでも「この道しかない」と訴えるのでしょうか。野党には相変わらず、対案がありませんから、与党は勝つには勝つでしょう。ただし、現在の2/3水準の勝利ではなくて、過半数プラスアルファの水準となるでしょう。議席を大幅に減らして勝利宣言というわけにもいかないでしょうから、解散には踏み切れなかったということでしょう。

 とはいえ、安倍政権が解散に踏み切れない理由、勢いを失っている、より本質的な理由について考えることは無駄ではありません。安倍政権は、来年の党総裁任期延長を睨み、戦後空前の長期政権になろうとしています。安倍政権への理解が、即ち、21世紀前半の日本政治を理解することとなりつつある。本日は、外交政策を中心に見ていきたいと思います。

積みあがる外交成果


 安倍政権の強みの大きな要素は外交でしょう。短命政権がコロコロ変わっていた時代を経験し、国民は安定した強い政権を望んでいました。安倍政権は、その期待に応え、外交成果を積み上げています。慰安婦問題に関する日韓合意、米大統領の広島訪問と総理の真珠湾訪問を通じた日米和解の演出、日ロ首脳会談に至る一連の動きなどです。

 それらの成果が実を伴うものなのか、単に演出が優れているだけなのかは意見が分かれるところでしょうが、少なくとも、安倍政権には意味のある外交を行おうという意思が感じられる。そして、安倍総理以外の他のリーダーが総理の座にあったとして、安倍政権よりも良い結果がでるようにも思えない。

 私は、国際社会の構造の問題として、そもそも、日本一国の意思で成果が出る部分というのは限られているのではないかと思っているからです。