室伏謙一(政策コンサルタント)

 10月23日、衆議院小選挙区東京10区と福岡6区の補欠選挙が行われ、いずれも自民党系候補が当選した。多くの報道では自民党の2勝、国会審議や解散総選挙に弾みがついたとされ、巷では対する野党連合の敗北が過剰に喧伝されているようである。しかし、今回の二つの補欠選挙、その構図は与野党対決ではなく、与党内対決であった。

 まず、東京10区、小池都知事と小池都政を支持する自民党都議・区議グループとそれを後押しする官邸、これに対峙する自民党都連という構図。若狭陣営、都知事選の時の小池選対がそのまま若狭選対に代わったと、記者会見で選対関係者が表現していたように、事実上小池選対であり、なぜそれで機能できたのかと言えば、選挙における対立の構図が実質的に同じだったから、ということであろう。
衆院東京10区の補欠選挙で当選を決め、笑顔で花束を掲げる若狭勝氏(中央)。左は東京都の小池百合子知事=2016年10月23日、東京都豊島区
衆院東京10区の補欠選挙で当選を決め、笑顔で花束を掲げる若狭勝氏(中央)。左は東京都の小池百合子知事=2016年10月23日、東京都豊島区
 事実、若狭候補は選挙戦中主張していたのは安心安全や公正さという抽象的な主張以外は東京や都政のことがほとんどであり、野党が主張していたような年金、アベノミクス、TPPなどは出てこなかったと言っていい。もっと言えば主張する必要はなかったし、しない方がよかったといったところだろう。22日朝に掲載した拙稿にも記載したとおり、若狭氏の役割は小池都政を強力に進めていくための国における連携役(これはご自身で語っていた話)であり、当選の記者会見に同席していた小池都知事も、今回の選挙結果を「東京大改革を進めよ」との有権者の意思だと語っている。

 要するに、東京10区の補選では、若狭陣営、もとい小池陣営は野党候補など最初から眼中になかったということだろう(ここを見誤ってはいけない)。では、野党連合は相手にもされない戦いに不毛な努力をしていたのかと言えば、必ずしもそうとも言えないようである。

 今回の補選、投票率は34.85%で、若狭氏の得票数は75,755票、対する鈴木候補の得票数は47,141票、得票率にして若狭氏は60.3%、鈴木候補は37.5%。これを前回の衆院選(投票率53.56%)と比べてみると、当選した小池氏の得票数は93,610票、旧民主党の江端候補の得票数は44,123票、得票率にして小池氏50.7%、江端候補23.9%。前回の衆院選は野党候補が乱立していたところ、得票率で見ると今回よりも低い。

 ちなみに共闘のため候補者を降ろした共産党、前回の衆院選での得票率は15.4%。単純な比較はできないものの、前回の民主、共産両党の得票率を足し合わせると、今回の得票率に近くなる。つまり野党共闘が効いたと考えることができるわけであり、過去数回の選挙で、比例復活となった民主党への政権交替選挙も含めて小池氏がその強さを誇ってきた選挙区における、連日利権と闘う小池知事の姿が報道される中での戦いとしては、意外と善戦であったと言えるのではないだろうか(取材で訪れた民進党の街宣での蓮舫代表の空回りの演説に辟易し、シラけて聞いていた筆者から見ても、である)。