山村明義(作家)

 注目の日米首脳会談がアメリカのトランプ大統領とイギリスのメイ首相との会談から約2週間遅れた形で、2月10日に決まった。

 いまだ日米間には多くの懸念があることは間違いないが、今後日本の命運は、ますます安倍総理の内政・外交能力に大きな比重がかかってくる。

 まず対米関係では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)撤廃後の通商関係や安全保障を含む問題などが、ごとんど安倍総理と「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領との関係に今後大きく影響させられるだろう。

 実際に1月28日の日米電話会談は、トランプ大統領のホワイトハウスに、娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問しか窓口がなく、事務方では交渉がなかなか決まらない始末だった。

 昨年秋までは「もしトランプ大統領が誕生したら、出たとこ勝負だ」(外務省高官)と意気込んでいた日本の外務省は旧来の米民主党政権とのやり方に頼り、いまだ米側とのパイプが十分に構築できていない証左である。
トランプ米大統領との電話会談を終え、報道各社のインタビューに応じる安倍晋三首相=2017年1月28日夜、首相官邸(春名中撮影)
トランプ米大統領との電話会談を終え、報道各社のインタビューに応じる安倍晋三首相=2017年1月28日夜、首相官邸(春名中撮影)
  また、日米の通商関係では、トランプ大統領自身が就任初日にTPPを大統領令で撤廃し、経済産業省の官僚からは「これまで我々が築き上げてきたものが崩壊し、正直さすがに落胆した」という声が上がっていた。

 TPP問題は、「日米二国間協定」に形を変えて迫られるとしても、担当者には大きな発想、というよりも思想の転換が求められる。大統領令に署名された不法移民や難民の制限も同様だが、トランプ大統領に対してリベラルなオバマ政権と同じく「民主主義と人権や法の支配」だけを重視する従来の発想では、とても立ち行かないからである。つまり、周囲の側近や官僚たちをあまり頼れない事態が続くのだ。