坂本光司(法政大学大学院教授)

『THE21』2016年12月号の総力特集では「短い労働時間で成果を出す」ことをテーマに扱ったが、中には、「労働時間が短くなればアウトプットが減るのは当然」という考え方の人もいるだろう。そこで『THE21』編集部では、会社員100人を対象に労働時間や残業についての調査を実施。あわせて、約7,500社を調査した結果、「残業が多くて業績が良い会社はない」という結論にたどり着いた法政大学大学院教授・坂本光司氏にお話をうかがった。

調査概要

サンプル数:103
実施期間:2016年10月12日(水)~10月13日(木)
対象:会社員
※自社調べ(マクロミルモニタ使用)
調査方法:インターネット利用

総実労働時間は統計上、減っているが…


 『毎月勤労統計調査』(厚生労働省)によると、長期的に見て、総実労働時間は減少傾向にある(グラフ1)
 とはいえ、今回、弊誌編集部が行なった調査によると、「労働時間が長いと感じている」会社員が6割以上に上っているというのが現状だ(グラフ2)
 実は、総実労働時間が減少している中でも、所定外労働時間、つまり残業は減っていない(グラフ3)。もしかすると、このことが「労働時間が長い」と感じる一因になっているのかもしれない。
 ただ、グラフ3は、残業の実態を知るためには不適切なものだと言わざるを得ないだろう。いわゆる「サービス残業」が含まれていないからだ。坂本氏も「もちろんサービス残業は言語道断なのですが、実際の残業時間はもっと長いでしょう」と指摘する。編集部による調査では、18.4%が「職場でサービス残業が横行している」と回答している(グラフ4)

「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」の選考委員長も務める坂本氏が優良企業の基準としているのは、「月の残業時間が10時間以内」というラインだ。

 「残業をしなければならない会社というのは、それだけ競争力が弱いということです。不況だろうが、為替レートが変動しようが、赤字にならない。そういう競争力の強い会社は、月の残業時間が10時間以下なのです。1カ月の営業日が20日だとすると、1日平均30分以下。実質的には残業がないと言っていいでしょう」(坂本氏)