高須克弥(高須クリニック院長、医学博士)

 
 エイベックス・グループ・ホールディングスが昨年12月に三田労働基準監督署から是正勧告を受けてね、社長の松浦勝人君が「闘います」って怒り狂っていたんです。僕も気持ちは分かりますよ。松浦君が言ってる労働者ってクリエイティブな仕事が大半で、アーティストみたいな人たちなんだよ。それは高須クリニックと全く構造が一緒なの。
 
 要は仕事好きでね「月月火水木金金」でもハッピーだという人たちはそれなりにいるんですよ。それなのにダメだって言われれば、そりゃそうだろうけど、それは状況を見て、柔軟に対応すべきなんだ。

「月月火水木金金」でもハッピーだという人はそれなりにいる(瀧誠四郎撮影)
「月月火水木金金」でもハッピーだという人は
それなりにいる(瀧誠四郎撮影)
 一般的には時間外勤務だとか、搾取だとかって言うんだろうけど、アーティストや聖職と呼ばれてる人たちって、そういうものとは無縁の世界なんですよ。だって、医者が時間になったからって帰っちゃったらどう思いますか。手術やってる最中に「時間になりました帰ります」って言ったら殴っちゃうもんね。「バカじゃないお前」って。
 
 うちの麻酔医は、元東大の麻酔医だったけどクビになった。その理由はね、研修医が来て麻酔をやってる最中に「時間ですから帰ります」って言ったもんだから「おいこらっ」って体罰を加えたからなんだって。例えば看護師さんでも患者が危篤のときに「そろそろ時間外なんで帰ります」なんて絶対言わないでしょ。もしそんなやついたら殴りたくもなるでしょう。
 
 高須クリニックはね、基本的に働いた分だけきっちりお金を払う。だから休みをあげるっていうとドクターたちが怒るんです。働きたいんですって。僕たちの世代は週休1日で日曜だけが休みだったけど、ほとんど休まなかったもんね。年末は夜明けまで仕事して正月は初日の出を東京で拝んでそれから名古屋まで車で帰るような生活をしてた。給料もそれだけ増えるから働きたい人たちも多かった。
 
 だから逆なんですよ。無理やり休ませると不満が出る。腕を磨いて高い給料で雇われようという意識があって、場合によっては一本立ちしようという野心のある医者ばっかりがうちに来てるわけだからね。エイベックスもそうでさ、能力の高い人は自分でマネジメントして一財産つくろうというような人もいると思うんだ。そういう人たちはね、休みなく働きたいと思うんだよ。