谷川会長にはとても感謝しています

 
 そういえば、フジテレビの『とくダネ!』って番組があるじゃないですか。謹慎中にたまたまテレビを見ていたら、メーンキャスターの小倉(智昭)さんでしたっけ。たしか番組中に「やってないと思いますけどね」って言ってくれたんですよ。もちろん、私のことはあんまり知らないでしょうし、私の性格とか人柄をそんなにご存じない方までそんなふうに言ってくれたのがすごくありがたいと思いました。これも変な言い方ですけど、さすがだなと思ったところがあるんですよ。分かるんだなっていうか。いや、あれで、ちょっと小倉さん好きになりました。

 なんて言えばいいのかな、意外に外の方がそういうふうに言ってくれたのはありがたかったんですけど、じゃあ何で私と同じ世界に身を置く棋士で疑った人がいるのかな、って逆に不思議に思うこともあります。私も対局者だったら、きっと不正をしているかどうかは分かるだろうっていうのがありますんで。

谷川会長にはとても感謝しています(瀧誠四郎撮影)
「谷川会長にはとても感謝しています」(瀧誠四郎撮影)
 もっと本音を言うと、将棋連盟があのとき「三浦は不正をやってないと信じています」という発表をしてくれていたらと思うことはあります。竜王戦を主催する読売新聞もクロと断定されない限り、「挑戦者は三浦で行くんだ」とか。その結果、第三者委員会の調査結果でシロという結論になっていれば、今回の疑惑をめぐる一連の騒動もここまで大きくならなかった気がします。

 一連の責任を取って、谷川会長が辞任されました。谷川会長は私も尊敬する方でありますし、谷川会長が理事の仕事でお忙しくなった際には私が谷川会長のお仕事を引き継がせてもらった経緯もあるんですよ。私は谷川会長にはとても感謝していますし、その気持ちはきっと伝わってると思います。

 実を言うと、ちょっと前に谷川会長のお兄さまからお手紙を頂いたんですよね。といっても、うちの師匠(西村一義九段)に手紙を出してくれたらしいんです。それが私の手元に来たってという話なんですけど。プライバシーのこともあるので多くは語れませんが、「自分の弟の裁定、処分を下したことについて申し訳なく思う」っていうふうに書いていただいて。私のことを疑って申し訳なかったという下りもあり、謝罪の気持ちが全面に伝わる内容でした。

 もちろん、一番きつい思いをしたのは私だと思っているんですけど、ただ谷川会長が辞任されたときの様子を見ても、会長もきついんだろうなという感じは伝わったので。谷川会長も、ある意味、被害者のようなものですしね。その谷川会長のお兄さまの手紙で、自分の中にあった激しい怒りの感情みたいなものが少し収まったという気がします。