【日曜講座 少子高齢時代】


河合雅司(産経新聞 論説委員)



5年間で96万人減る


 昨年実施された国勢調査によれば、総人口は1億2709万5千人となり、5年前の前回調査に比べて約96万3千人減った。国勢調査で総人口の減少が確認されたのは1920年の初回調査以来、初めてである。

 日本人人口に限れば、前回調査で37万1千人減少している。この際は外国人や国籍不明者が増え、総人口はマイナスとはならなかったが、今回は外国人などの増加以上に日本人の減り幅が拡大した。
 これまでの少子化の影響で女児の出生数が減っており、今後、出産可能な年齢の女性数が大きく減少する。こうした流れを止めることは極めて難しいということだ。人口減少を前提として社会を作り替えざるを得ない。

 人口減少は国内市場の縮小や社会保障の負担増を招くため、悲観論をもって語られることが多い。

 だが、人口が減ったら経済成長ができなくなるわけではない。日本より人口規模が小さくても豊かな国はある。戦後の日本の経済成長は人口の伸びではなく、イノベーション(技術革新)によって実現したとされる。

 人口減少下で豊かさを維持するには、経済を成長させるしかない。そのためには生産性を向上させることだ。同じ労働時間の中でより付加価値の高い仕事が行えるようにすることである。労働者1人当たりの国内総生産(GDP)が伸びれば、個々の所得は増える。

成功体験と決別せよ


 人口減少下で経済成長を実現するには、いくつかのポイントがある。まずは過去の成功体験との決別だ。いまだ人口が増え続けた時代の発想から脱せず、経済活性化策というと大型プロジェクトを目指す声がなくならない。

 機械化にも同じことがいえる。人工知能(AI)は技術開発が進み人間の能力を超える存在として語られるが、現状の業務を単にAIに置き換えるのでは不十分だ。

 求められているのは人口が減っても機能する仕組みの構築であり、人口減少が大きく進んだ時代に生じるであろう課題への対応力である。