昨年、日本を訪れた外国人観光客は1300万人を超えた模様だ。過去最高だった2013年の1036万3904人を大きく上回る。政府はさらに外国人観光客を増やす目標を掲げており、東京オリンピックが開催される2020年に2000万人にするという数値目標を掲げている。

 ただ、目標数値を掲げるだけでは旅行者数は増えない。何らかの画期的な政策、方策が必要となる。そこで注目できるのが、自民党が策定した「デジタル・ニッポン」なのだ。
外国人の姿が目立つ東京都新宿区の歌舞伎町
外国人の姿が目立つ東京都新宿区の歌舞伎町
 これは自民党のIT戦略特命委員会がとりまとめた政策提言だが、東京オリンピックが決まったことで、東京オリンピックを観戦に来る外国人をターゲットとした夢のようなアイデアを開陳している。

 素人考えの荒唐無稽なものではない。日立やパナソニック、ソニー、マイクロソフト、NTT、ソフトバンク、積水化学、トヨタ、JR東日本、セブン銀行といった、およそ30の民間企業からヒアリングし、各社の知見やアイデアをまとめたものなのだという。

 では、2020年の東京オリンピックの頃の日本はどうなっているのだろう。

 まずは外国人旅行者の入国から。大勢が一気に訪日するため、入国手続きは相当の混雑が予想される。が、テロの水際防止のために、ここで手を抜くわけにはいかない。

 そこで生体電子情報を用いた「インフライト・クリアランス・システム(IFC)」を用い、機内で本人確認をし、入国審査を簡略化する。生体情報を使うので、テロリストの排除にも役立つという。

 入国する外国人には「スーパーID」を発行する。このIDが訪日中のパスポート代わりになるだけでなく、電子マネーとして買い物に使え、電車やバス、タクシーなど交通機関の決済もこれで全てできる。

 ちなみに電子マネーのチャージは入国審査をする航空機内でやってしまう。電子マネーの機能以外にも、公衆無線LANの使用もこのIDを使ってスムースに行えるようにする。

 ここで注目すべきは、クールジャパンを体現した「スーパー扇子」。外国人旅行者にICチップを内蔵した扇子を配布する。いわゆる扇子デバイスで、ここにスーパーIDの情報を組み込み、支払いなどにも活用するのだ。

 暑い日本の夏、扇子は手放せない。IDに適しているというわけだ。扇子を通じて公共情報、五輪の競技情報、飲食店情報、割引情報なども得られるようにする。訪日した外国人は皆、扇子で扇ぎながら日本中を観光するようになるのだろう。

 これらは2015年から試作、検討を始め、2017年に東京周辺で実証事業を行い、2020年に本格導入を図る――というスケジュールを想定しているという。
さて、オリンピック観戦でも新たなアイデアが多数ある。

 まずは「スーパーナビ」。眼鏡型のウェアラブル端末を掛ければ、観客席からでも競技を間近に見ることができる。望遠鏡の機能があるわけではない。競技場に複数のカメラを設置し、競技を立体的に映して眼鏡型端末に送信する。