白戸圭一(三井物産戦略研究所主席研究員)

 サブサハラ・アフリカ(以下単にアフリカと記述)には現在49の国が存在し、その多くは1960年代に独立した。その後の半世紀を超える歴史を振り返ると、多くの国家が一人の政治指導者による長期政権を経験している。2017年1月末現在、最も長く政権の座にあるのは、1979年に就任したアンゴラのジョゼ・ドス・サントス大統領と、赤道ギニアのオビアン・ンゲマ大統領だ。両氏の在任期間はともに今年で38年目となった。
2006年10月、日本・赤道ギニア首脳会談の前に安倍晋三首相(右)と握手するンゲマ・赤道ギニア共和国大統領
2006年10月、日本・赤道ギニア首脳会談の前に安倍晋三首相(右)と握手するンゲマ・赤道ギニア共和国大統領
 49か国のうち、30年以上政権の座にある指導者は6人いる。この2人に加え、ジンバブエのムガベ大統領(在1980年~)、カメルーンのビヤ大統領(在1982年~)、ウガンダのムセベニ大統領(在1986年~)、スワジランドの国王ムスワティ三世(在1986年~)がこれに当たる。さらに、この6人を含む計9人が20年以上権力の座にある。

 1994年から西アフリカの小国ガンビアの大統領の座にあったヤヤ・ジャメ氏は、5選を目指した2016年12月の大統領選挙で野党統一候補に敗北した。しかし、ジャメ氏は「選挙結果に不正があった」と強弁して結果の受け入れを拒否し、政権の座にとどまろうとした。西アフリカ15カ国で構成する「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」はジャメ氏に退陣を求め、ナイジェリア、セネガル両軍をガンビアに派遣。さらに米英仏などの支持を取り付け、ECOWASの取り組みを支持する国連安保理決議を成立させた。結局、ジャメ氏は圧力に屈し、1月21日に赤道ギニアへ亡命した。ジャメ氏もまた、22年にわたって権力の座に君臨し、反体制派への弾圧で知られた独裁者であった。

 かつて短命に終わった指導者の中にも無数の独裁者がいたことを思えば、アフリカが独裁者出現率の高い地域であることは間違いない。独裁者が数多く誕生してきた理由の一つは、アフリカの国々では社会に「遠心力」が働きやすいからだと考えられる。

 アフリカは19世紀以降、大陸のほぼ全体が英仏を中心とする欧州の宗主国によって植民地化され、宗主国は人々の生活圏や民族分布を無視して好き放題に境界線を引いた。その後、アフリカの国々は植民地期の領土境界線を引き継ぐ形で独立したので、一つの国の中に数多くの民族が暮らし、宗教も多様であることが一般的になった。例えば2016年8月に日本政府主導の「第6回アフリカ開発会議(TICADⅥ)」が開催されたケニアには、少なく見積もっても42の民族が居住しており、アフリカ最多の1億8000万人超の人口を擁するナイジェリアには、キリスト教徒とイスラーム教徒がちょうど半分ずつ住んでいる。
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