雨宮処凜(作家、社会運動家)

「経緯等々、報道されている通りですが、職員の思いはなんであれ、経緯はどうであれ決してやってはいけないことであったことは十分痛感しています。もう本当に、反省の極みでございます」

 小田原市の日比谷正人健康福祉部長は、開口一番そう言った。

 小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」などと書かれたジャンパーを着ていた問題が発覚してから一週間後の1月24日。この日、弁護士や支援者、ケースワーカーなどからなる「生活保護問題対策全国会議」(私も会員の一人である)が公開質問状を持参、市の管理職6名と面談した。こちらから参加したのは「もやい」の稲葉剛氏や「生活と健康を守る会」「POSSE」など、日頃から生活困窮者支援をしている人々など7人。
「不正受給はクズだ」などの趣旨の英文がプリントされたジャンパーの背面部分
 ここで少し、事件を振り返ろう。

 小田原市の職員が、この10年間にわたって「保護なめんな」「不正受給はクズである」などの文言が入ったジャンパーを職務中に着用していたことが発覚し、大きく報じられたのが1月17日。ジャンパー作成のきっかけは、10年前の2007年、保護を打ち切られた男性が職員を切りつけるという事件が起きたことだったという。これを受け、職員の間で「連帯感を高めるため」に作られたというジャンパー。生活保護世帯を訪問する時にも着用されていたという。

 この日の面談で、部長は「不正受給はクズ」という言葉に対し、「保護家庭の方全体を責めるわけでなく、不正受給する人は入れないよ、というメッセージだった」と述べた。が、強調しておきたいが、不正受給は件数にして2%、額にして0・5%。もちろん、不正受給はあってはならないことだが、なぜ「適正に受給している」保護世帯にそのようなものを着ていくのだろう。小田原市が突出して不正受給が多いという話なども聞いたことがない。生活保護しか頼れる制度がない人々は、「悪」という言葉につけられたバツ印や「保護なめんな」という言葉を、どのような思いで見ていただろう。