学生や市民が行政長官の選挙制度の民主化を求めて街頭占拠を続ける香港の民主派デモ。1カ月以上も長期化し、民主派と親中派の溝がさらに深まっている。民主派リーダーで政党「工党」党首の李卓人氏(57)と、親中派の市民団体「愛護香港力量」代表の李家家氏(50)に、それぞれの主張と今後のデモの行方について聞いた。

民主派、李卓人氏

李卓人氏
 ここまでデモが大規模になり長期化するとは予想外だった。街頭占拠は違法で市民生活に影響を及ぼしていることは事実。だが(北京の)中央政府に香港人の行動力を示すことができた点で成功といっていい。

 香港人が黙っていれば中央政府は、香港の自由な空間をどんどん狭めようとする。経済問題など短期的な視点よりも、中長期的な危機を今こそ認識して立ち上がらなければならない。

 英国の統治下に戻りたいわけでも、香港独立を求めているわけでもない。若い香港人の将来のために「一国二制度」で自治や言論の自由のある民主社会を求めているだけだ。(旧宗主国の)英国には当初から支援を期待していない。英国は中国側を重視している。

 デモ反対派の背後には中央政府や香港政府が見え隠れする。反対派を動員することで警察力を使わずにデモを撤収させようとしている。香港警察やそれ以外の力による強制排除も懸念されるが、北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)が終了する11月中旬までは実行しないだろう。

 学生や市民らはみな自発的に望んで参加した。したがって納得しなければ誰が命じても解散はしない。デモがいつまで続くか予測できないのはそのためだ。

親中派、李家家氏


 街頭デモは当初、金融街セントラル(中環)占拠を計画していたはずが、モンコック(旺角)など市中の路上占拠に変質した。デモが圧力をかける相手は政府や金融界ではなく一般市民になった。救急車など緊急車両も通れない。商業や観光業など経済にも影を落とす。デモに一般市民の反発が強まったのは当然だ。

 民主派には米国から資金が提供されている。米国式の民主主義を押しつけるためだ。だが、香港には香港に適した中国式の民主社会がすでにある。国際金融センターとして地位も確立している。理想論より経済などの現実が大事だ。

 中国の特色ある社会主義の下、「一国二制度」で民主社会が保障されていることは、デモが許されている点を考えても明らかで、もっと共産党政権を信頼すべきだ。2003年の新型肺炎(SARS)の流行や08年の金融危機でも、北京の支援なしに香港だけでは対処できなかったはずだ。

 香港のトップは「国を愛し、香港を愛する」のが条件だが、民主派は国を愛さない“香港独立”も狙った選挙をもくろんでいる。しかしデモ隊は占拠し続けても反発が増えるだけ。警察は今後、世論の高まりから強制排除に乗り出すタイミングを探っていくだろう。

(香港 河崎真澄)