雨宮処凛(作家、社会運動家)

 第二次安倍政権が始まってから、既に4年以上が経過した。この4年間で安倍政権は何をしてきたのか、今一度、振り返りたい。
衆院予算委員会で、平成29年度予算案の集中審議について、民進党の辻元清美氏の質問で、委員長に答弁の許可を求める安倍晋三首相=2月14日(斎藤良雄撮影)
衆院予算委員会で、平成29年度予算案の集中審議について、民進党の辻元清美氏の質問で、委員長に答弁の許可を求める安倍晋三首相=2月14日(斎藤良雄撮影)
 まず、貧困問題に10年以上関わる身として挙げたいのは、生活破壊と言うべき政策が次々と進められているということだ。

 第二次安倍政権が始まってすぐに断行されたのが、生活保護基準の引き下げ。就任早々、「弱者は徹底的に見捨てるぞ」とばかりに安倍首相はもっとも貧しい人々の生活の基盤を切り崩したのである。このことによって、平均6・5%、最大で10%も生活保護基準が引き下げられた。この引き下げは、特に子どものいる生活保護世帯に大きな打撃となった。

 引き下げが始まった2013年には「子どもの貧困対策法」が成立したわけだが、同時に生活保護世帯の子どもを見捨てるような政策が進められたのである。このように、「真逆のことを同時に進める」というのが安倍政権のひとつの特徴だ。また、生活保護については、寒い地域での暖房費などにあたる「冬期加算」や、家賃である「住宅扶助」も引き下げられた。ちなみにこの引き下げについて、当事者の声は一度も掬い上げられていない。「当事者の声を聞かない」というのも、安倍政権のひとつの特徴である。

 「だけど別に生活保護なんて受けてないから関係ない」と思う人もいるだろう。が、多くの低所得者向け制度は、生活保護を「基準」としている。この基準が下げられたことによって、就学援助(経済的に厳しい世帯に学用品代などが支給される制度)が受けられなくなったり、医療費や保育料の減免措置が受けられなくなったりと、実に多くの「実害」が発生。生活保護基準は、36もの制度に連動していると言われる。「受けてないから関係ない」で済む話ではないのだ。

 引き下げだけでなく、13年には生活保護法自体も戦後初めて大幅に「改正」された。生活保護申請へのハードルを上げることを狙ったような改正だ。この背景には不正受給に対する批判の高まりもあったのだが、生活保護の不正受給率は2%、額にして0・5%である。もちろん不正受給はいけないことだが、問題にすべきは生活保護を受けられる人がどれだけ受けているかを示す「捕捉率」が2〜3割という現実ではないのだろうか。