今年の9月以降、中国漁船が小笠原諸島付近に多数押し寄せ、その漁船団が我が国の領海や排他的経済水域内において違法操業を行う事件が多発し、報道によれば今なお200隻以上の船が同海域にいる模様です。この件に関して中国側の意図について色々と意見が述べられているようですが、いずれも推測でしかありません。ただ現時点ではっきりしていることは、これだけの数の船が同一海域で行動しているのは、中国政府が何らかの形で関与しているということと、彼らが国力の大小で国境線が変わるという認識を持ち、それを日本近海や南シナ海などで実行しようとしているということです。

 つまり、この問題は単なる話し合いや、国際社会の圧力だけでは解決しないということです。だいたい自国に降り懸かる火の粉を自らが拂おうともせず、安易に他国に救いを求めても誰が本気で聞いてくれるでしょうか。我が国は、法治国家として断固犯罪行為を許さないという姿勢で以下のことを行うべきです。

 特別対策室を設置し、その本部長に省庁の垣根を越えた権限を付与する。本部長は、その権限を行使して海上保安庁、水産庁、警視庁、防衛省、検察庁、裁判所の職員を全国からピックアップし専従チームを編成する。具体的には、密漁取り締まりのノウハウを持つ海上保安庁と水産庁、暴徒鎮圧のノウハウを持つ警視庁機動隊を自衛隊の航空機や艦船に乗り組ませ、違法漁船を法令に則り粛々と検挙する。あらかじめ大型旅客船をチャーターし、刑務官と通訳を乗り組ませて父島の湾内に停泊させておき、検挙した被疑者を、そこに拘留する。また、父島に臨時の検察庁と裁判所を設置し、大量の検事と判事及びその事務官を配備するとともに国選弁護士として大量の弁護士を国の費用で連れてきて、迅速な裁判を可能にする。外規法違反の場合は「犯人が所有し、又は所持する船舶は没収することができる。」ので可能な限り漁船を没収し、それをフィリピンやベトナムに譲渡する。合わせて国際社会に日本の正当性と中国の不法行為を訴えるとともに日中首脳会談は無期限延期とする。国会は、以上のようなことが、スムーズに行うことができるよう、また違反行為者を厳罰に処せるよう法令改正等の必要な措置を行う。

第3管区海上保安本部が航空機から撮影した中国のサンゴ密漁船団
=10月30日、東京・伊豆諸島沖(同海上保安本部提供)
 日本政府の対応に業を煮やし「自衛隊を出動させよ」とか「発砲、撃沈」などという意見をお持ちの方も少なからずおられるようですが、私の考えは、あくまで自衛隊の艦船や航空機を戦いの道具ではなく運転手付の移動手段として使用するというものです。それは、このようなケースでは自衛隊は前面に出るべきではなく、相手に領土的野心があるにしろ表面上は「犯罪行為」という形(公船の領海侵犯とは次元が違う)でくる以上、こちらも法令に則り警察力で対応すべきだと考えるからで、自衛隊の艦船や航空機を使用するのは、海上保安庁や水産庁の船や航空機の絶対数が足りないからです。また、発砲や撃沈は取締りの過程で偶発的に起こるもので、銃器の使用は否定しませんが、それ自体が目的であってはなりません。

 他にも、このような方法に対しては異論のある方も多いでしょう。確かに密漁船の取り締まりは、海上保安庁や水産庁の所管事項なのですが、いかんせん尖閣諸島警備のこともあり人員船舶ともに不足しており、単独での取り締まりには限界があるのです。そこで、限界があるといって諦めては、相手の思う壺です。これは、主権をもった国家が自国の領海内で犯罪者を捕まえるだけのことで、それ以上でもそれ以下でもなく何かに配慮すべき問題ではありません。我々が、もっとも慎まなければいけないのは「中国にはかなわない」と思い、少しでも妥協してしまったり、中国船の乱暴狼藉に慣れてしまったりすることです。相手は、国を挙げて侵略してきているのです。我々も国力を総動員しなければ領土領海をまもれないことを認識せねばなりません。