2017年02月17日 15:25 公開

ジェームズ・ギャラガー科学・ヘルス担当記者

ビタミンDのサプリメント摂取によって、英国で300万例以上のかぜやインフルエンザの罹患を減らすことができるとする研究が、このほど発表された。ビタミンDには、免疫システムを助ける効果があるという。

研究結果は、医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。論文はビタミンDが添加された食品の普及を訴えている。

一方、英イングランド公衆衛生サービス(PHE)は、感染に関するデータが十分ではないと指摘したが、ビタミンDのサプリメント摂取は推奨。骨や筋肉の健康向上のためにビタミンDを摂取するべきだとしている。

免疫システムは、菌やウイルスに穴をあける「武器」を作る際に、ビタミンDを活用する。

しかし、ビタミンDは日光を浴びた皮膚の中で生成されるため、冬には不足しやすい。

サプリ摂取による感染予防効果を測る試験の結果はまちまちだった。そこで研究チームは、別々に実施された25の試験で得られた1万1321人のデータを総合して、確かな結論を得ようとした。

ロンドン大学クイーン・メアリーの研究チームは、鼻づまりからかぜ、肺炎に至る幅広い疾患を含む呼吸器感染症を対象に調査した。

全体では、ビタミンDサプリを摂取することで、33の症例のうち1回は感染が防げたことが分かった。

インフルエンザの予防接種は、40回の投与で1回の感染を防ぐ。つまり、ビタミンDの摂取の方が、インフルエンザの予防接種より効果的だったことになる。ただし、一般的なかぜよりもインフルエンザの方が、感染症としてははるかに深刻だ。

サプリの効果は、毎日もしくは毎週摂取した方が、1カ月に一度大量に摂取するよりも高かった。また、もともとビタミンD不足の人の方が効果があった。

今回の研究に参加したエイドリアン・マーティノー教授は、「英国の人口が6500万人として、そのうち7割が、少なくとも毎年1回、急性の呼吸器感染症にかかると仮定する。毎日もしくは毎週ビタミンDサプリを摂取すれば、325万人にとって、急性の呼吸器感染症にかかる回数が少なくとも1年に1回は減る」と語った。

PHEはすでに、骨や筋肉の健康のために秋から冬にかけて、ビタミンDサプリを摂取するよう推奨している。また、介護施設に入っていたり、日光を避ける服装などをしている人は、1年中摂取することが望ましいとしている。

しかし、今回の研究の重要性については、かなりの議論が起きている。

PHEの栄養科学部門を率いるルイス・レビー教授は、「ビタミンDと感染症の関連性の証拠は一貫性に欠ける。研究は、呼吸器感染症のリスク軽減のためビタミンDを推奨するに足りるだけの、十分な証拠を提示していない」と述べた。

しかし、バーミンガム大学教授で内分泌学会メンバーのマーティン・ヒューイソン教授は、「論文執筆者たちの言うとおり、骨の健康に役立つという立証済みの知見以外で、ビタミンDの新しい可能性を示す研究だ」と評価した。

今回の研究を資金援助した英国民保健サービス(NHS)の国立衛生研究所(NIHR)は、「今後さらに議論されるべき内容」だと評価した。

ロンドン大学クイーン・メアリーの研究チームは最終的には、ビタミンDの食品添加を目指している。例えば米国では、牛乳にビタミンDが添加されている。

マーティノー教授は、「食品へのビタミンD添加によって少量で安定したビタミンDの摂取が実現でき、一部の国では、深刻なビタミンD不足をほぼ克服する助けになった」と述べた。

「我々の研究はビタミンDの新たな利点を示すことで、英国など深刻なビタミンD不足が一般的な国々の状況改善のため、食品添加の実施へと議論を後押しするものだ」

(英語記事 Vitamin D pills 'could stop colds or flu'