企業に女性登用を促す女性活躍推進法案が国会に提出された。企業管理職に占める女性比率など数値目標の扱いが最大の焦点だった。設定・公開を義務付けるものの一律とはせず、個々の企業がそれぞれ目標を決めることに落ち着いた。政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」も発足し、女性登用をめぐる議論が活発化している。

 目標設定が企業の側に委ねられたことを産経と日経はいずれも「妥当」、読売は「現実的な判断」と評価した。産経は「企業ごとに女性社員を取り巻く状況は異なる。政府が民間企業に対して一律に女性登用の目標を課せば、企業の活性化を損ないかねない」としながらも、企業側には「自発的、かつ真に女性登用を促進する努力が期待されている点を忘れてはならない」と注文もつけた。

 日経は、法律に促されなくとも「先駆的に取り組んできた企業は少なくない」とし、推進組織を設け管理職の女性比率を高めた日産自動車などの例を挙げた。安倍晋三政権は「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との政府目標を掲げているが、日経はこの「数値目標」にも異を唱え、「企業の実情とは隔たりが大きい。何より大事なのは自社に即して考えることだ」と論じた。

 朝日と毎日は「企業任せ」を批判した。朝日は法案の裏付けとなる厚生労働省審議会の報告書に対する論評で、「確かに、様々な業界をひとくくりにはできないし、政府が業界ごとに目標数値を決めて義務づけるのも無理があろう。しかし、企業の自主性を尊重してきた結果、いまだに『女性が活躍できる社会』を実現できていないことを考えてほしい」と官主導の数値目標が必要と指摘した。

 毎日は「企業の自主性に委ねるだけでは(20年に30%の)政府目標が達成できるとは思えない」と断じた。「数値目標は『倍増する』などあいまいな表現が可能で、数値目標のどれを公開するかも企業が選択できるため、指導的地位にある女性の比率がどう改善されたのか正確に把握するのは難しい」とし、運用では「政府が強い指導力を発揮して実効性を高めなければならない」と強調した。

 女性登用のため、男性社員を含めた職場全体の環境を改める必要があるとの認識は各紙共通だ。まず男性が働き方を変えるべきだとの論調も目立った。

 読売は「重要なのは、企業や男性の意識改革だ。家事・育児の大半を女性に委ねたままでは、女性の活躍は進まない」と指摘。毎日も「日本の男性が育児や家事に参加する時間の少なさは以前から問題となっているが、長時間労働はますます夫から育児を遠ざけているのだ」とし、「男性社員の働き方を変えなければ、女性が活躍できるようにはならないだろう」と性別によらない労働条件の変革を主張した。

 女性の活躍は、安倍政権の成長戦略の柱の一つである。労働人口の減少が懸念されるなか不可欠であり、子育てや就労を支援し、女性が働きやすい職場を実現しなければならない。政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部」もそのため、全閣僚参加で全力を挙げる。

 社会の趨勢(すうせい)が女性登用であるなかで「専業主婦の役割を再評価したい」とする産経の主張は際立った。「家族の介助に果たす専業主婦の役割はいまも大きい」「地域活動や学校、ボランティアでリーダーシップをとる場面も増えている」という。家事・育児に専念したいと考える若い女性も少なくなく、「経済成長を重視するがあまりに、専業主婦を目指す女性が後ろめたさを感じる社会になってはならない」と多様な女性の役割を強調した。

 職場であれ、地域・家庭であれ、すべての男女が、自分らしい輝きを追求できる社会を実現したい。(内畠嗣雅)