碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)

 女優の清水富美加さんと宗教団体「幸福の科学」に関する報道が続いている。これまでの仕事を辞めて幸福の科学に「出家」するという清水さんに対して、多くの芸能関係者が苦言を呈している。芸能人としては、関係者一同に多大の迷惑をかける掟破りの行動ということだろう。しかし、私たちには信教の自由があり、職業選択の自由がある。ただそれでも、清水富美加さんの行動には様々な疑問があることも事実だろう。
(写真はイメージです)
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 宗教が批判的に扱われるときに使われる言葉として、まず「新興宗教」がある。新興宗教は伝統宗教に対して新しいという意味で、本来は善悪の価値は含まない。ただ一般的には、新興宗教というと怪しげなイメージが伴うだろう。

 ある宗教団体を非難するときに、「異端」と言われることもある。異端は、「正統」とは異なる教義を主張するものである。その新しい宗教の中で、釈迦やキリストが登場することがよくあるが、伝統的な正当の仏教やキリスト教から見れば、異端だろう。しかしこれは、その宗教の中の話であり、外の人間にとってはあまり関係のないことも多い。ただ、その新興宗教が「新しい真実が示された」などと主張しても、宗教家や宗教学者から見れば稚拙で誤りだらけと評価されることが多いことは、私たちも知っていて良いだろう。

 「カルト」と言われて宗教が非難されることもある。カルトの本来の意味は、少数の熱烈な信奉者のことであり、カルト映画、カルトクイズなどと使われることもある。この場合は、強いこだわりを持つ「オタク」「マニアック」の意味に近いだろう。だから、カルトは変わり者かもしれないが、悪いことではない。

 しかし現代では、カルトは悪い意味で使われることが多い。「カルト宗教」は危険な宗教という意味で使われている。そこで研究者らは悪い意味で使うときには「破壊的カルト」と表現することもあるが、一般的には「カルト宗教」「カルト団体」などと表現されている。またカルト集団が大きくなるともはや少数とは言えないという意味で、「セクト」と呼ばれることもある。

 私たちには信教の自由がある、どんなに奇妙な少数派の教えでも、信仰する自由がある。しかし、悪い意味のカルト(破壊的カルト)は社会に害を与え、個人の人生を破壊する。宗教だからという理由だけで、全てが許されるわけではない。

 悪い意味のカルト集団とは、マインドコントロールなどの悪質な手法で信者を獲得し、本人や家族や社会全体に害を与える集団である。

 フランスのセクト(カルト)構成要件によれば、カルトの特徴として、精神の不安定化、法外な金銭的要求、住み慣れた生活環境からの断絶、反社会的な言説などが挙げられている。ただし、各団体がカルトなのかどうかは微妙な部分があり、意見が分かれることも多い。かつてのオウム真理教はカルトだが、当時マスコミに登場した信者は、自信にあふれ明るく元気に見えたことだろう。