国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2014年の世界エイズデー(12月1日)のメッセージを発表しました。
CLOSE THE GAP(ギャップを埋めよう)です。

 公式サイトのキャンペーンのページにさまざまな素材とともに「サンプル・プレスリリース」も紹介されています。クレジットの都市と日付はそれぞれの国、都市、組織で適当に入れて使ってくださいというわけですね。

 内容は、2030年にエイズ流行終結を目指しているのだけれど、それはHIV予防、治療、ケア、支援のサービスを必要としているすべての人がそのサービスを受けられるようになって初めて実現できるということです。

 こうなると、エイズ流行の終結はできないと言っているのと同じような印象も受けますが、そういう斜に構えた見方はあえて控え、いま目の前にあるギャップを埋めるために全力を尽くす。そう受け止めるべきでしょうね。

 もちろん、世の中はいま、エイズ対策に全力など絶対に尽くさないと思いますが、メッセージとして全力を尽くそうと呼びかけることにまで異論をはさむことはないでしょう。現状認識と決意表明はまた別です。たとえ四面楚歌に近い状況であったとしても、できる限り力を尽くしましょう。

 なお、エイズ流行の終結についてUNAIDSは次のように定義をしています。HATプロジェクトが日本語仮訳で9月29日に紹介した《2030年のエイズ流行終結に向けた「高速」対応を各国が準備》というUNAIDSプレスリリースに紹介されているので、このあたりも誤解のないように再掲しておきます。
 《エイズの流行の終結とは、HIV感染の拡大が制御または封じ込められ、社会及び個人の生命に対するウイルスの影響が非常に小さくなり、結果として健康障害 や偏見、死亡、孤児などが大きく減少する状態を意味する。また、エイズの影響が低下することにより、平均余命が長くなり、人々の多様なあり方や権利が無条 件に受け入れられ、生産性が向上し、コストが下がることも意味している》
 UNAIDSの2014年世界エイズデー特設ページに掲載された「CLOSE THE GAP(ギャップを埋めよう)」のサンプルプレスレリースとファクトシートを日本語仮訳で以下に紹介します。基本的なデータは今年7月にUNAIDSが発表した「GAP REPORT」のファクトシートと変わっていません。これらの数値が現時点における最新推計ということになります。グラフィックやバナーなどのキャンペーン資材もUNAIDSの公式サイトの2014年世界エイズデー特設ページに掲載されています。

   ◇

ギャップを埋めよう 世界エイズデー 
(UNAIDS世界エイズデー2014 サンプル・プレスリリースの日本語仮訳)
 2030年のエイズ流行終結に向けて、2014年12月1日からギャップを埋めていこう

【都市、日付】 2014年の世界エイズデーは人に焦点をあてギャップを埋めていくために社会変革の力を利用する大きな転機です。HIV予防、治療、ケア、支援のサービスへのアクセスがある人とそうしたサービスを受けられずに取り残されている人とのギャップを埋めることで初めて、2030年までにエイズ流行を終結させることが可能になります。

 ギャップを埋めるとはつまり、必要なサービスが得られるようにすべての人を励まし、力づけるということです。

・HIV検査のギャップを埋めれば、HIVに感染していることを知らないでいる1900万の人が支援を得ることができるようになります。
・治療のギャップを埋めれば、3500万人のHIV陽性者全員が生命を救う治療を受けられるようになります。 
・子供用治療薬へのアクセスのギャップを埋めれば、HIV陽性の子供全員が治療を受けられるようになります。残念ながらいまは24%にとどまっています。
・アクセスのギャップを埋めることで、すべての人が解決策の一翼を担えるようになるのです。

 ギャップを埋めることが、2030年のエイズ流行終結は可能だということになるのです。


   ◇
2014年世界エイズデー、ファクトシートの日本語仮訳
 2013年現在、世界のHIV陽性者数は3500万人[3320万~3720万人]。流行が始まって以来、約7800万人[〔7100万人~8700万人]がHIVに感染し、このうち3900万人[3500万人~4300万人]がエイズ関連の病気で死亡している。

新規HIV感染ゼロに向けてギャップを埋めよう
・2013年には世界全体で年間210万人[190万~240万人]が新規にHIVに感染
・2013年には世界全体で年間24万人[21万~28万人]の子供が新規にHIVに感染

エイズ関連の死亡ゼロに向けてギャップを埋めよう
・2013年には世界で150万人[140万~170万人]がエイズ関連の病気で死亡

治療のギャップを埋めよう
・2013年には約1290万人のHIV陽性者が抗レトロウイルス治療を受けている。
・これはすべてのHIV陽性者の37%[35%~39%]に相当。ただしHIV陽性の子供ではまだ24%[22%~26%]にとどまっている

HIV/結核のギャップを埋めよう
・結核は依然、HIV陽性者の死因のトップであり、2012年には推定32万人[30万~34万人]のHIV陽性者が結核で死亡している

アクセスのギャップを埋めよう
・HIVは出産可能年齢の女性の死因のトップである
・2013年には低・中所得国の妊娠女性の54%がHIV検査を受けていない
・2013年には15~24歳の若年層のHIV感染の約60%が未成年の少女と若い男性の間で起きている
・アフリカでは10~19歳の間でエイズ関連の病気が死因のトップになっている
・世界的には、ゲイ男性、および他の男性とセックスをする男性は一般層より19倍もHIV陽性率が高い。
・セックスワーカーのHIV陽性率一般層より12倍も高い
・トランスジェンダーの女性は出産可能年齢の全成人の平均に比べ、49倍もHIV感染のリスクにさらされている
・注射薬物使用者のHIV陽性率は一般層よりも28倍高いと推定されている