福江翼(神戸市外国語大学准教授、京都大学博士(理学))

 「トラピスト1」と呼ばれる星の周囲に、地球のような小さな惑星が7個も発見され、大々的な話題となった。すでに太陽系の外には3000個以上もの惑星が報告されているにも関わらず、なぜこれほど話題になったのか。それは、生命の存在しうる惑星が、地球から近いところに見つかったのではないか、ということがポイントであろう。

 今回の研究では、宇宙空間に設置されたスピッツァー宇宙望遠鏡や地球上の複数の望遠鏡を駆使した大規模な観測が行われており、観測の合計時間は1000時間を軽く超えている。非常に精度の高い巨大なデータがもたらした貴重な成果といえる。

 発見された惑星は地球クラスの小型の惑星だった。一般的に、遠くにある小さなものを探すことは困難であり、地球のような小さな惑星探査は現在の天文学においてもけして簡単なことではない。実際、2016年の時点でトラピスト1には惑星の発見報告が一部あったのだが、詳細な観測をさらに進めた結果、実は7個もあったことが今回やっとわかったのである。

見つかった惑星の想像図。地表には液体の水があり、
空には太陽に相当する恒星や他の惑星が浮かぶ(NASA提供・共同)
見つかった惑星の想像図。地表には液体の水があり、 空には太陽に相当する恒星や他の惑星が浮かぶ(NASA提供・共同)
 今回見つかった新たな惑星は、宇宙と生命の観点からも注目されている。地球の生命は「液体の水」が生きていく上で必要になっている。そこで宇宙の生命探査においても、惑星に液体の水が存在できるのか、という観点が欠かせない。

 地球の場合、太陽から届く日光のおかげで液体の水が存在できている。トラピスト1においても、この星から惑星が遠くなりすぎると、届く光が減るために、(水という物質が存在したとしても)氷になってしまうだろう。逆に、星に近すぎると熱くなりすぎて蒸発するだろう。惑星が中心の星から「適度な距離」に存在していれば、惑星の気温も適度なものとなり、液体の水を保持している可能性が高くなる。

 トラピスト1で発見された7個の惑星のうち、3個の新たな惑星が星からの距離が適度な場所(ハビタブル・ゾーン)に存在していると見積もられた。この見積もりは温室効果などの惑星環境にも依存するため、さらに増える可能性もある。

 また、これらの惑星はその大きさもその重さも、いずれも地球クラスのものであることが観測から判明した。惑星の密度も地球と似ており、たとえば密度の低いガス惑星である木星のそれとは異なっている。つまり地球のような大地を持つ可能性がある。もし液体の水が十分に存在しているのならば、それは「海」と呼べるかもしれない。

 もしかすると今回の発見は、生命の居住可能性を持つ惑星(ハビタブル・プラネット)、見方によれば「第二の地球」の発見に近付いているのかもしれない。そのために今回ニュースになっており、研究者としても宇宙のファンとしても注目している。