IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する医療情報キュレーションメディア「WELQ」で不正確な記事や著作権無視の転用が発覚したことを発端として、同社のサイトが続々と休止に追い込まれたが、この騒動を受けて他社が運営するキュレーションメディアでも、過去に掲載した記事の削除や記事作成ガイドラインの見直しなどが進んでいるのだという。某キュレーションメディアの編集に携わるA氏(20代)が明かす。

 「今回の騒動で、私たちのメディアでも執筆マニュアルの変更など対応に追われました。特に気をつけるよう指示が出ているのが画像利用です。これまでは海外の画像投稿サイトから無断で転載することもありましたが、今回の一件を受けて、自分たちで画像作成をするという方向にシフトしました。

 また記事執筆についても、これまでは正直、著作権的にグレーな記事も散見されたのですが、完全にオリジナルな記事を執筆するように方針変更しています。特にダイエットや美容などのヘルスケア領域の記事は、従来よりも出典の明記を強化するよう指示が出ています」(A氏)
 こうした対応に追われるメディアがある一方で、これを好機と捉えている中小メディアもあるという。現在、美容系のキュレーションメディアを運営しているB氏(30代)は、今回の騒動の影響について以下のように語った。

 「正直、今は大きなチャンスが来ていると思っています。メディアとして稼ぐためには、Google検索結果のトップページに表示させるためのSEO対策が何より重要。もともと投下できる資本の量が桁違いなので、これまでは競合分野の検索上位は常にDeNAのキュレーションメディアが占めていました。

 しかし『WELQ』炎上から、大手メディアが軒並み記事を非公開にしたことで、自分が運営しているような小規模キュレーションメディアでも上位表示されるようになり、PVが爆増しました。正直10倍ほどに膨れ上がっており、広告収益も増えています」(B氏)

 とはいえ話を聞くと、B氏が運営するメディアもまた、「WELQ」などと同様、その信憑性に疑問符がつく記事が少なくないのだという。今回の「WELQ」の騒動はマイナスにならないのだろうか。B氏はこう語る。

 「ここだけの話、大きな方針転換はしていません。サイトの炎上を回避するためにより巧妙なコピペ対策や記事執筆マニュアルの改正を行っている現状です。ライターとの意思疎通も徹底して信頼関係を築いていますし、悪いことをしているという意識はないですね。そのため、ある程度の期間は安定した収益を維持しながらしのぐことができると考えています。

 ただしキュレーションの印象も悪くなっているので、このビジネス一本ではキツい。DeNAのメディアが復旧するまでの間に、キュレーションメディア以外の新しい事業を考えたいと思っています」(B氏)

 大手メディアほど自浄作用が期待できる反面、中小メディアの中にはまだまだ利益優先で信頼性の低い記事を出し続けているところもあるようだ。「WELQ」炎上をきっかけにしたキュレーションメディアを巡る騒動は、まだ完全に終結したわけではない。