五十嵐仁(元法政大大原社会問題研究所教授)

 森友学園の深い闇について、ようやく光が当たるようになってきました。国会での追及などもあり、マスメディアやテレビのワイドショーも無視できなくなってきたのでしょう。

 この問題を国会で解明するべきだという意見は83%にも上っています。政治家の関与についても、監査委員をしていた大阪維新の会の伊藤隆弘府議などの名前が出てきました。真相解明に向けて、籠池理事長など関係者の証人喚問は不可欠です。

工事が進む森友学園の取得用地=2月、大阪府豊中市(本社ヘリから)
工事が進む森友学園の取得用地=2月、大阪府豊中市(産経新聞社ヘリから)
 さて、このブログでは一連の疑惑について検討してきましたが、そもそも森友学園が経営していた塚本幼稚園とはどのような幼稚園だったのか、その実態について見てみることにしましょう。そのような幼稚園がなぜ評価され、優遇されたのか、第6の疑惑は森友学園と国粋主義的な「愛国幼稚園」ともいうべき塚本幼稚園自体に関わるものです。

 ここで検討すべき問題の一つは戦前型の偏向教育の実態であり、第2は教育機関にあるまじき幼児虐待であり、第3は籠池理事長やその夫人のヘイト発言であり、第4は大阪維新の会や稲田朋美衆院議員との関係です。

 第1の戦前型の国粋主義的な偏向教育の実態については、すでに多くのビデオなどで国民の知るところとなっています。なかでも、大きな衝撃を持って受け止められたのが、2015年秋の運動会の映像でした。
 ここで映し出された異様な光景に、唖然とした人は多かったでしょう。「選手宣誓」を行った代表の園児4人は、次のように叫んでいました。

 「大人の人たちが他の国々に負けぬよう、北方領土、竹島、尖閣諸島を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心あらため、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ! 安倍首相がんばれ! 安保法制、国会通過、よかったです!」

 自民党議員の中には、このどこが問題なのかと考えている人もいるでしょう。しかし、もし「大人の人たちが戦争を始めないよう、私たちが戦争に行かされないようお願いいたします。岡田代表がんばれ! 岡田代表がんばれ! 安保法制、国会通過させないでください!」などと叫んでいたら、どうでしょうか。

 自民党議員の皆さんは黙っていなかったでしょう。国会で大問題になっていたにちがいありません。

 この「選手宣誓」について国会で質問された安倍首相は、さすがに肯定することができず「『安倍総理がんばれ』とか、園児に言ってもらいたいということはさらさらないし、私は適切でないと思う」と答弁しました。しかし、それが「学校は政治的活動をしてはならない」という教育基本法第14条に違反するというとことについては明言を避けています。