人生の振り返り、万一のため… 法的拘束力は?

 人生の最期を迎えるのに当たり、残された家族に自分への思いや希望を伝える「エンディングノート」。映画で話題となり、今では、ちょっとした書店にいけば必ず本棚にあるほど一般的となってきている。いつごろから登場し、どんな内容で、どんな機能を持つものなのだろう。基本を理解しよう。

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人生の整理ができる


 自分の死、自分の判断能力が衰えたときに備えて、財産や意志など自分自身に関する情報をまとめて記入できるノートがエンディングノートだ。

 さまざまなタイプのものが市販されたり、頒布されたりしているが、共通しているのは、普通の大学ノートやレポート用紙と違って、何を書いたらいいのかが丁寧に示されている点だ。

 指示に従って書いていけば、自分が終末期や万一のときに必要な情報が書き込まれていく仕組みになっている。

 人生の目標を書いたり、介護が必要な場合や、過度な延命治療をどうするかといった、生前段階に役立つ項目が用意されている。自分一人で書き込むのではなく、親子あるいは寺の住職と相談しながら書くことを推奨するノートも少なくない。

法的効力は…「ありません!」


 一般に誤解されがちだが、エンディングノートには「法的効力がない」という点を頭に入れておく必要がある。

 人生の備忘録として、自分の思いや希望をまとめる意味合いが強いのがエンディングノートだ。一方、死後に法的効力を持つのは「遺言」だ。

 遺言は、民法で定められた「認知」「財産処分」「後見人や後見監督人の指定」「相続」「遺産分割」「遺贈」といった部分に限定して影響力を持つ。

 特に誤解を招きやすいのが、エンディングノートと、遺言の種類のひとつにある「自筆証書遺言」との違いだ。

 「自筆証書遺言」は、全文が消せないペンを使った遺言者の自筆であることが必要だ。日付、書名、訂正の仕方も細かく定められている。一方で、エンディングノートは、パソコンで打ち込んでも大丈夫。CD-ROMがついているノートも売られている。さらにノートに書かれてある指示に従って書くのだから、「全文自筆」ではない。訂正も気軽にできる。

 遺言でも、遺族への感謝や心掛けを書くが、こうした「遺訓」は法律上の効果はなく、エンディングノートとの違いはない。

標準的には5つの特徴


 エンディングノートに記入する項目は多岐にわたる。標準的なエンディングノートの機能をの5点に集約してみるとこうなる。

 ・死後の希望を伝える
 ・自分を振り返る
 ・緊急時に役立ている
 ・想いを伝える
 ・これからの人生を見据える

 構成のバランスやページのつくりはノートによってさまざまだ。うち一点だけを深く掘り下げたタイプもある。選択の幅は意外なほど広い。

 基本的な記述内容には次のようなものがある。自分の基本情報(生年月日、住所、住民票コード、免許、パスポート情報など)▽インターネット上の情報(ホームページやメールをどうするか)▽自分の生い立ちと思い出▽家族や知人への言葉▽預貯金・不動産・年金・負債などの情報▽医療や介護の希望(尊厳死、臓器提供など)▽親族や知人リスト(死亡を知らせるか否かなど)▽ペットについて▽葬儀・墓の希望。

 100ページ近い厚みがあるものから、A4判6ページ程度の簡単なものまで、さまざまな種類が出ている。インターネットや公的機関などで、無料で配布されているものも多い。

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プレシャス・エンディングノート~私の大切なノート/ナカバヤシ

自分を振り返る・整理する


 これまでの半生や若いころを振り返る自分史、手持ちの財産やローンなどを整理する資産リストは、主要項目ながら、ノートごとにバランス差が大きい。この項目を書くことによって自分の人生や財産が整理されてくる。

緊急時に役立てる


 事故や病気で意思が伝えられなくなったとき、自分の考えを代弁する項目。緊急時の連絡先や病歴と持病リストのほか、臓器提供や尊厳死の意思表示欄を用意するノートもある。

死後の希望を伝える

もしもノート/著・須齋美智子+NPO法人ライフ・アンド・エンディングセンター(LEC)/宮下印刷
 葬儀や遺骨に関する希望、連絡をとってほしい相手の一覧はほぼ必須項目。法的効力はないが、相続に関する考えや計画をまとめられるページを設けるノートも多い。

家族や友人に想いを伝える


 財産のこととは別に、大切な人へ死後に伝えたいことを書く項目も重要な要素だ。生前閲覧用と死後用ノートを分離するタイプの場合、財産目録とともに後者に振り分ける例が多い。

これからの人生を見据える


 余生を前向きに生きるべく、今後の人生の目標を書くページを設けるタイプも増加中だ。特にセカンドライフ突入前後の人をメーンターゲットにしたノートで充実している傾向がある。

(終活読本ソナエ 2014年春号に詳報)



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