2017年03月13日 12:29 公開

トルコの大統領権限拡大を訴える集会を、トルコ移民の多い欧州内でも開こうとするトルコ政府の動きに、一部の欧州首脳らがトルコを批判するなど反発を強めている。オランダ政府やドイツ政府が自国内のトルコ政府系集会開催を禁止したことで、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「西側にはナチズムがまだ生きている」と両政府を非難し、物議を醸している。

トルコ政府は、大統領権限拡大を目指す4月半ばの国民投票で賛成投票を促すため、トルコ移民の多い欧州各国で集会を開こうとしている。しかしドイツやオーストリア、オランダでは、地元当局が安全上の懸念を理由に開催を禁止した。フランスでは、地元当局が治安上の脅威にはあたらないとして、開催を認めた。

オランダ・ロッテルダムの集会で登壇予定だったトルコ閣僚2人の演説をオランダ当局が禁止し、1人をドイツ国境まで移動させたことから、オランダとトルコ両政府の関係が悪化。エルドアン大統領はオランダを、輸出依存で政情不安定な小国の意味の「バナナ共和国」だと呼び、国際機関にオランダ制裁を呼びかけ、欧米諸国の「イスラム恐怖症」を非難した。

「ナチズムはもう終わったと思っていたが、間違っていた。西側にはナチズムがまだ生きている」とエルドアン氏は述べた。

オランダのマルク・ルッテ首相は13日、エルドアン氏がオランダ人を「ナチスのファシスト」になぞらえたことについて、謝罪を要求。「この国は第2次世界大戦でナチスに空爆された。そのような物言いは、まったく容認できない」と強く反発し、トルコが姿勢を改めない場合には、オランダとしても反応を検討しなくてはならないとクギを刺した。

デンマークのラース・ラスムセン首相は、予定されていたエルドアン大統領との会談を延期し、「トルコが現状のようにオランダを非難している状況では、我々の首脳会談をそれと切り離して受け止めてもらうのは無理だろう」と理由を説明した。

ドイツの閣僚もトルコ政府に対する姿勢を強めており、ジグマール・ガブリエル外相は、トルコに「理性を取り戻してほしい」と述べた。

アンゲラ・メルケル首相は、トルコ閣僚によるドイツ国内の集会出席について、「事前に発表されている限り」反対しない姿勢を示していたが、トマス・デ・メジエール内相は、トルコの政治集会をドイツで開くことに反対。

「トルコの政治運動をドイツで行うのは場違いだ」と内相は地元メディアに話した。

ドイツのウォルフガング・ショイブレ財務相は、トルコが「協力関係進展の基盤を破壊した」と批判した。

スウェーデンの首都ストックホルムでも12日にエルドアン支持集会が予定されていたが、会場所有者が集会を中止したという。トルコのファルク・チェリク農相の出席が予定されていた。

スウェーデン外務省は、集会中止に政府は関与しておらず、場所を変更しての開催もあり得ると話している。

何が問題なのか

トルコでは4月16日、議会共和制の国から米国式に近い大統領制の国に政治体制を変更すべきかどうかで、国民投票を開く。

可決されれば、大統領権限は一気に拡大し、閣僚の任免権や予算編成権、主要裁判官の任命権、大統領令による法の執行権などを手にする。

さらに、国家非常事態の宣言や議会解散権は大統領の専権事項となる。

国外に住むトルコ人は約550万人。ドイツ国内だけでもトルコの有権者は140万人おり、国民投票の賛成派は票の取り込みに力を入れている。

これまでに、トルコの有権者が大勢住むドイツ、オーストリア、オランダで複数の集会が予定されている。

しかし複数の国は、治安上の懸念を理由に挙げて、集会開催を止めようとしている。

オランダのセバスチャン・クルツ外相は、地元住民とトルコ移民の間の摩擦拡大につながり、住民の一体化を妨げるため、エルドアン派の集会は歓迎しないと表明した。

多くの欧州諸国は、昨年7月のクーデター未遂と、それを機に国がエルドアン政権下で権威主義に移行しているように見える状況に、深い憂慮の念をあらわにしている。

なかでもドイツは、公務員10万人近くが罷免され、多数の報道機関が閉鎖されるなどした、クーデター後の大量逮捕と粛清を強く批判してきた。

(英語記事 Turkey rallies row: Germany and Netherlands harden stance