網尾歩 (ライター)

【ネット炎上のかけらを拾いに】

 このCMで笑える人との間にあるのはジェンダー観の差ではなく世代間ギャップかもしれない。

男性蔑視であり、女性蔑視でもある描写


 「安い電気に替えるか、稼ぎのいい夫に替えるか」

 こんなことを妻が言い放つ、JXエネルギー「ENEOSでんき」のCMが炎上している。筆者はこのCMが不興を買っているのをツイッター上で知り、その後実際にテレビで見て、よくこんなCMを現代にやるなと思った。随分と時代遅れなCMである。
 内容はこうだ。「主婦って自由に使えるお金って少ないのよねえ」と妻役の女優が茶飲み友達に言い、「解決策は2つあるわ」と続ける。そして冒頭でも紹介した「安い電気に替えるか……」というセリフを、目を見開いて言うのだ。さらに、後ろのドアから覗いている夫役の男優を振り返って威圧し、犬を抱いていた人の良さそうな夫は後ろに吹っ飛ぶ。

 30秒バージョンの方では「安い電気に替えるか…」のセリフの後で、友人の女性が「やあだ~」と笑い話に変えようとするのだが、妻はいったん笑った後で真顔になり「本気よ」と畳みかける。妻役を演じているのは小池栄子さん。もともとグラビア出身だが2012年には日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞するなど演技派として知られるだけに、このCMでもいい目力を見せている。

 J-castがこの炎上を伝える記事「『安い電気か、稼ぎのいい夫か』 『ENEOSでんき』CM炎上」の中で下記のようなコメントがネット上にあったことを引用していたが、まさにそれ、である。

「このCMは男性の扱いも問題ですが、世の主婦・女性はこのような考えであるという誤解を生みかねないものでもあり、困りものですね」

「男性蔑視というか、女性蔑視でもあると思うが。男性に経済的に依存しているのが通常ということが前提なわけだろ」