山田順(ジャーナリスト)

 いまや森友学園は「疑惑のデパート」(いやスクール)となり、問題は多岐にわたっている。ただ、本当に単純化して言ってしまえば、いまどき「愛国教育」をやると国有地を格安で払い下げてもらえるうえ、首相も首相夫人も応援してくれるということだろう。

 そこで、問題となるのが、この学園の愛国教育の中身だ。

 小学校認可申請を突如取り下げた籠池泰典理事長は、「塚本幼稚園公式チャンネル」でこう言っていた。
豊中市内の小学校建設現場に姿を見せ、報道陣に囲まれる「森友学園」の籠池泰典理事長=3月9日
豊中市内の小学校建設現場に姿を見せ、報道陣に囲まれる「森友学園」の籠池泰典理事長=3月9日
「日本国のためにがんばっている。私がやらなきゃ誰がやるんだということだった。どうぞみなさん、私はいま、責められています。でもこの学校はいま、日本民族にとって必要な学校であります」

 本当にそうだろうか。この発言を聞いて思うのは、この人は本当に哀しい、余裕のない人間、日本と日本人がどういうものなのかまったくわかっていないということだ。

 はっきり言って、あなたがそんなことをしなくても、この国に生まれ育った日本人は、自然にこの国を愛している。なにかあれば団結し、この国を守る。日本は、世界の多くの国のように多民族共生国家ではない。国民が分断されてもいない。しかも、国家は自然発生的にできて、1千年以上にわたる統一的な歴史を持っている。

 つまり、どこかの国のように、56民族の共存を訴え、反日教育をして常に愛国心を強調しなければ、国が成り立たないなどいうことはない。しかしこの人は、こういった日本が信じられないのだろう。本当に哀しいことだ。

 だから、この人は、幼稚園の子供たちに「日本民族です」と大きな声で言わせている。さらに、軍艦行進曲を演奏させるなんていうことまでしている。運動会では「中国、韓国が心を改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ。安保法制、国会通過よかったです」とまで言わせている。まったく馬鹿げている。

 そんなことを4、5歳の子供たちが理解できるわけがないだろう。しかし、この人は、「教育勅語」を暗唱させれば、それで国を愛し、日本を誇りに思う日本人ができると思っている。そんなことは、あるわけがない。

 なぜなら、子供たちにとって、強制されることは苦痛であり、逆効果の方が大きいからだ。要するに、この学園は愛国心を育むのではなく、愛国心を強制することで北朝鮮のような体制に従う「愛国ロボット」を生産したいだけだ。なぜ、見識ある保守政治家たちがこのような教育に騙されるのか、私には皆目わからない。