アメリカで公立学校に子供をやった親御さんなら知っているが、アメリカの学校には教室に必ず星条旗が飾られている。そして、毎朝、子供たちは胸に手を当てて、星条旗に向かって「The Pledge of Allegiance」(忠誠の誓い)を唱えることになっている。毎朝、毎朝だ。
 これは、以下のような簡単な文言で、日本の「教育勅語」のように長くない。

 I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all. 
(私は、わがアメリカ合衆国の国旗、すべての人々に自由と正義が存する、分かつことのできない、神の下での一つの国家である共和国に忠誠を誓う)

 もし、あなたがアメリカ人に出会ったなら、この「忠誠の誓約」を暗誦できるかどうかを試してみればいい。できなければ、アメリカ人ではない。

 ここで大事なのは、この「忠誠の誓い」が国家ではなく、その理念である「自由と正義」(Liberty and Justice)に誓うということだ。なぜ、そんなことを幼い子供たちにさせるのだろうか。

 それは、こうした儀式をさせ、アメリカという理念を叩き込まないとアメリカ国民にはならないからだ。アメリカは移民の国である。トランプ大統領ですら、ドイツとスコットランドからの移民の子孫だ。

 ということは、一人ひとりが持つ祖国、文化、歴史はみな違う。これを統一させて、星条旗の下に一つの国民をつくらなければ、国は分断されてしまうのである。 

 たとえば、トランプ大統領の出身地、ニューヨークのクイーンズ区ジャマイカで生まれ育った黒人の子が学校で歴史の授業を受ける。すると、教科書には建国の父、ジョージ・ワシントンが出てくる。

 しかし、この子はジョージ・ワシントンを「自分の祖先だ」などと思うだろうか。彼の祖先はアフリカから連れてこられた黒人奴隷で、奴隷所有者ワシントンにこき使われていたかもしれないのだ。

 こういうことを思えば、いかに日本が恵まれた国かわかるだろう。私たち日本人の祖先はずっと遡っても日本人であり、この国は自然と一つの国家で、私たちはあえて意識せずとも、日本人であることに誇りを持てるようになっているのだ。

 森友学園のような愛国教育など、あえてする必要がどこにあるのだろうか。そう思うと、籠池理事長というのは、実に「哀しい人物」である。悲しいではない、“哀しい”だ。

 「教育勅語」を意味もわからず暗唱できる子供をつくるより、他文化を理解し、他言語を話せる子供をつくったほうが、よほど愛国心は育まれる。「お国のため」にもなる。

 しかも、時代は大きく変わろうとしている。いまの子供たちが大人になる頃には、人間はロボットとAIと共存するようになるだろう。そうこうするうちにシンギュラリティもやってくる。

 そんな将来を考えたら、「教育勅語」より「プログラム言語」と「英語」を学ばせるべきだ。私にいま幼い子供がいたら、絶対そうする。