森口朗(教育評論家)

 日教組の力が弱まってきたと言われて久しい。日教組は、日本最大の教職員組合であるから、その力の源泉は教職員をどれだけ束ねているか、つまり組織率にある。それを見る限り、確かに日教組は弱体化している。1980年代には50%を下回り、2014年にはついに25%を割り込んだ。しかし、今次の森友学園の騒動に対するメディアや一部の政治家の対応を見ていると、いかに我々日本人の中に日教組教育の「害悪」が染みついているかを実感した。そこで、いまだ日教組の影響を脱しきれない教育がどれほどひどいものかを、いま一度考察してみたいと思う。

出身母体、山梨県教職員組合(山教組)の新年互礼会であいさつする民主党の輿石東参院副議長=2016年1月6日、山梨県甲府市
出身母体、山梨県教職員組合(山教組)の新年互礼会であいさつする民主党の輿石東参院副議長(当時)=2016年1月6日、山梨県甲府市
 日教組教育を批判する際に最も頻繁に使用されるのが「自虐史観」という言葉だが、日教組教育の害悪は歴史教育にとどまらない。彼らの主な問題点は、根本思想=「社会主義が資本主義よりも優れた体制であるというマルクス主義由来の妄信」、歴史認識=「(全般に問題があるが、とりわけ)明治国家の全否定」、現状認識=「反日国家への追随=善という発想」に集約できる。

 彼らの社会主義体制への憧憬を端的に表しているのが、元日教組委員長の次の言葉だ。「この国には泥棒がいない。泥棒とは富の片寄ったところに発生する。この国には泥棒の必要がないのである。泥棒も殺人犯もいないから警察官もいない。交通整理や怪我(けが)人のために社会安全員が街角や交差点に立っているだけ」(『チュチェの国 朝鮮を訪ねて』より)。

 この国とは北朝鮮の事だが、この文章は何も北朝鮮や故金日成主席を讃えているだけではない。北朝鮮において、社会主義国家の理想すなわち経済的平等が実現されていると主張しているのだ。だから、昨今の報道で、北朝鮮の現実が不平等だと露呈しても日教組組合員の思想は揺るがず、故槙枝委員長の事実認識が間違っていただけだと考える。そして、きょうもどこかで日教組教員は、「格差」という言葉を隠れ蓑に資本主義社会への怨念を児童生徒にも植え付けようとしているのである。

 日教組の歴史認識は、マルクス・レーニン主義に基づいており、明治国家を常に侵略意図をもって行動する帝国主義の国と捉える。先日のさまざまな業績も帝国主義との関連でしか理解できない。「教育勅語は軍国主義に基づくもの」という主張がその典型である。